氷菓(原作沿い)

□3.古典部全員集合
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「へえ、カンヤ祭に出品するんだ。
ホータローがよく承知したね。」


承知したと言うか…えるちゃんの独断のような…。


「里志、いま文化祭って言ったか?」


「言ってないよ。
カンヤ祭。聞いたことない?
神高文化祭の俗称だよ。」


「へぇー、福部君は博識なんだね。」


「待て、苗字。
こいつの話を素直に信じないほうがいい。」


折木君の目は、完全に福部君を疑ってかかっていた。

……しかし…それよりも…
折木君が「苗字」と呼んでくれたことに、えるちゃんたちと同じくらいに、親しくなれた気がして嬉しかった。


「怪しいな。
そりゃ本当の話か?」


「本当さ、公式についてるわけじゃないらしいけど、手芸部の先輩はみんなカンヤ祭って呼んでるね。
摩耶花、漫研だとどう?」


「うん、みんなカンヤ祭って言ってるわ。
委員会でもそう呼んでたし。」


「カンヤ。どういう字を書くんですか?」


えるちゃんの質問には、私も気になっていた。


しかし、福部君は両手を上げて、お手上げのポーズを見せた。


「わからないんだ。
聞いてまわったりはしたんだけどね。」


「まあ多分、神山高校文化祭が神山祭になって、カンヤマ祭になって、カンヤ祭かなって思ってるけど。」


根拠はないにしても、福部君の言う説はなかなかに説得力があった。

だけど…何でかな…。

カンヤ祭の名前の由来には、もっと深い意味がありそうだけど…。
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