氷菓(原作沿い)

□3.古典部全員集合
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そしてふくちゃん改め、里志君はこほん、と咳払いをした。


「まあ、いいじゃないか。
それより、古典部員が…っと、おや?…新顔だね。」


「本日付けで、古典部に入部した苗字名前さんです。」


えるちゃんが、またしても私の代わりに紹介してくれた。


「1年A組の苗字名前です。」


ペコリと頭を下げた。


「そうか、じゃあこれで古典部は四人になった訳だ。

申し遅れたね、僕は福部里志。
古典部と手芸部を兼部中さ。」


なるほど…福部君が古典部員最後の一人だったらしい。


その後、福部君が仲介役となって、私と摩耶花ちゃんは互いに自己紹介をした。


「さて、古典部員二人を改め、三人揃って図書室になんの用だい?」


そうだった…。
つい目的を忘れていた。


「あ、あの、図書委員さん。
もう聞いてもいいですか?」


怖ず怖ずと切り出したえるちゃんは、どうやらタイミングを見計らっていたみたいだ。


「はい?なんなりとどうぞ。」


「ここに部活の文集って置いてありますか?」


「ありますよ。
そこの壁際の棚に。」


「古典部のはありますか?」


摩耶花ちゃんは首ひねる。


「古典部…。
さあ、悪いけど憶えがないわね。
ちょっと探してみてくれますか?」


お礼を言って、棚の方へ向かおうとしたえるちゃんを、福部君が止めた。


「なかったね。
その棚はさっきたまたま見てたんだ。
摩耶花、そこになかったとしたら?」


「うぅん。開架にないなら、書庫かしら?」


「書庫かぁ…」


福部君は少し考え込む姿勢を見せてから聞いた。


「千反田さんはなんでまた文集なんて?」


「文化祭で文集を作ることになりましたから、一度以前の文集を見ておこうと思いまして。」
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