氷菓(原作沿い)

□3.古典部全員集合
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「あれ、折木じゃない。久し振りね、会いたくなかったわ。」


折木君と図書室に入ると、カウンターにいた女の子の衝撃的な言葉で迎えられた。

…あ、折木君は大して驚いてない…。


「よお。会いに来てやったぜ。」


思いっ切り嫌そうな顔で、そう言ってのけた折木君。


「ここは教養の聖域よ、あんたには似合わないんじゃない?」


更にその子も言い返す。

何という言葉の応酬だろう。


「やあ、ホータロー、奇遇だね。」


二人の言い合いに呆然としていた所に、また一人知らない人が加わってきた。


テーブルで本を読んでいたその男の子が、席を立ってこちらまでやって来た。

人懐っこそうな人だ。


「相変わらず仲がいいじゃないか。
さすがは鏑矢中学校ベストカップル。」


「えっ…お二人は付き合って「ふざけるな。」


私の言葉は、折木君の声に掻き消されてしまった。


「こんな陰気な男、なめくじの方がまだましよ。」


これはもしやの…照れ隠し?


しかし、女の子の方は、余裕の表情で口を開いた。


「ふくちゃん、私の気持ちを知っててよくそんな冗談が言えるわね。」


「ああ、ごめんよ摩耶花、傷付けてしまったかい?」


「またそうやって冗談めかしてごまかすんだから……。
本当、いい加減にしてよね。」


そして女の子…多分名前はマヤカちゃんが、ふくちゃんと呼ばれた男の子を睨みつけていた。


…って、そんなことより…


「折木君、折木君。
もしやの三角関係ですか?」


「断じて違う。」


小声でそう聞いてみたが、即答で否定されてしまった。


「だから、あれは里志の冗談だ。
苗字まで鵜呑みにしないでくれ。」


どうやら、あれは本当に冗談で、照れ隠しではなかったらしい。
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