氷菓(原作沿い)
□18.古典部温泉旅行A
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折木side
苗字にはあぁ言ったが、俺より先にあいつが出る可能性は………ないな。
「ん…。」
脱衣所には里志のらしき衣服があった。
俺も服を脱いで浴場に向かうと、なかなか雰囲気のある所だった。
「おぉ、案外広いな。」
軽く体を流して湯舟に浸かると、見知った影が近づいてきた。
「やあ、ホータロー。来たね!
この湯はいいよー、体に染み通る!」
「血液に水分が混じりあったら危険だろう。」
「くだらないこと言うねぇ。
まあ、リラックスしてる証拠なら結構なことだけど?」
ふと女湯の方から誰かが入ってきた音がした。
………苗字か…?
軽くお湯を流す音が聞こえた後に、ゆっくりと湯舟に浸かる音がする。
さっき会ったばかりのためか、どうにも苗字にしか思えない。
そう感じた途端に、あいつが入浴している姿をつい想像してしまう。
髪をまとめると、普段は見えない項が見えるんだろうな。
そう言えばあいつも千反田と同じくらい肌が白い…。
その肌を伝うお湯が……
!!俺は何を考えているんだ…!!
慌てて煩悩を払おうとするが、俺の想像は一向に止まる様子はなかった。
未だに耳に流れてくる水音が想像力を促進するようで、よりリアルに感じてしまう。
お湯で上気した頬やそれに伴って潤む瞳。
濡れて妙に色っぽい首元から鎖骨…そして……
「…………ッ…////」
そこで俺の意識はフェードアウトしたようだ。