氷菓(原作沿い)

□16.歴史ある古典部の真実
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『そろそろ皆が来る頃だね。』


折木君との話が一段落して、不意に時計に目をやれば約束の時間の10分前だった。


そう思った直後に部室の扉が開いて、えるちゃんが到着。
そして次々に摩耶花ちゃんと福部君も到着して、古典部が全員集結した。


「折木さん。私、この件についてはまだ知らなければいけないことがあるようです。」


えるちゃんが折木君に向かってそう言うと、折木君も頷いた。


「大丈夫。大抵のことは今日、補足できるはずだ。
ちょっと待て。」


「どういうこと、折木。
補足ってなによ。」


「補足は補足だ。
不完全だったものを完全に近づけるために行う後付け作業だ。」


そう言うと、折木君は件の『氷菓第二号』の序文のコピーを配った。


「不完全って、昨日の折木さんの説がですか?
間違っていたんですか?」


「恐らくな…。
間違っていたと言うより、方向が間違っていたと言うほうがしっくりくるだろう。
その点に関しては苗字と確認済みだ。」


途端に、折木君以外の3人からの視線が刺さるが、今回のこの補足は折木君の仕事だ。

申し訳なく思いながらも、視線で折木君に聞いてくれるように3人に促した。


皆が来る前に、折木君から自分で報告しないかと提案されたけど、丁重にお断りさせてもらった。


私はあくまで第三者。
折木君も自力で気づいていたのなら、報告するのは折木君が適任だと言うと、渋々頷いてくれた。



「まあ聞け。」


質問責めを食らっていた折木君が、疲れた様子でそう言ったのが聞こえた。
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