氷菓(原作沿い)

□14.省エネ主義の見解
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折木君のまとめを聞き終えて、純粋に凄いと思った。
あれだけの資料から、ここまで矛盾の少ない仮定…いや、もうこれは事実かもしれない!
興奮冷めやらぬ状態で、私は福部君が拍手したのに続いた。


「いや、なかなかお見事だったよホータロー。
うん、なるほど、だ。」


摩耶花ちゃんは無言で資料を片付け始めていた。


「すごい!すごいですよ折木さん。
たったこれだけの資料から、そこまで読み解いてしまうなんて…。
やっぱり、最初に折木さんにお願いしたのは正解でした!」


えるちゃんも私と同じ気持ちなんだなーと、和んでいたらふとえるちゃんの「最初に」という言葉がひっかかった。

最初に…ってことは、福部君や摩耶花ちゃんたちよりも…ってことだよね…。

私は休んでたから仕方ないけど…。
折木君に最初に相談…したのか…。

またいつかの様に胸の辺りがチクッと痛んだ。

えるちゃんに1番に頼ってもらえなくて、ショックだったのかな?
んー…なんか違う気が…。


自分で自分がわからなくなってきた。

うーん……


「おい、苗字。」


『…………。』


「苗字…?」


『ハッ!!あ…はい、何でしょう!?』


いけない…自分の世界に入り過ぎて、折木君が声をかけていたのに気づかなかった。


「苗字の方から質問はないか?」


あ、そうか…。
私の仕事を忘れる所だった。

私は迷わず『良かったよ。』と言うために口を開いたが、何かが引っ掛かって言葉にならなかった。

何か忘れてる…何だったっけ…。
ここまでの話で、みんなの仮説を聞いて、何か…何か違和感を感じたはずじゃ…


『あ、うん…良かった…よ。』


上手く笑えただろうか。

折木君からの視線を感じたけど、気づいていないフリをして視線を下げた。
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