氷菓(原作沿い)

□13.データベースの見解
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福部君が用意してきた資料は、期せずしてまさかの壁新聞『神高月報』だった。

それを見て、ふと遠垣内先輩を思い出した。
そう言えば、得意げに『神高月報』は400号近いと言ってた気がする。
つい口元に笑みが浮かんでしまったが、向かい側の折木君と目が合ってしまい、急いで顔を引き締めた。


「僕が調べたのは、壁新聞部が発行してる壁新聞『神高月報』のバックナンバー。
図書室の書庫に眠ってるのを見つけたから、放課後の無聊を慰めるついでに読み込んでたんだ。
だけど、33年前の事件そのものに言及した資料はなかったし、間接的に触れてるっていっても、この程度だったね。
正直、当てが外れたよ。
まあ、バックナンバーっていっても残ってるのは全体の半分ぐらい、せの半分もマジックやなんかで落書きされてる保存状態の悪いものだから、それも仕方ないかもしれないけどね。
で、要約がこれ。」


もう一枚の、4つの項目に纏められた紙に目を通す。


「事件で暴力が振るわれなかったんだから、摩耶花の説は軌道修正。
中の二つも、ほとんど同じことかな。
『我々』ってのが全学のことを指すのかどうか字義的には疑問の余地があるけど、これはどっちでも関係ないことって言えるかもしれない。」


『え…そうなの?』


釈然としなくて首を傾げると、福部君はそれを見越していたようで、戸惑うことなく補足を入れた。


「全学イコール我々なら、生徒全体が事件に関与したことになって、ノットイコールなら、全学のバックアップの下に、我々が事件に関与したことになるから。

あんまり、違いはないだろ?」


『な、なるほど…確かに。』


福部君の理論には、相変わらず穴がないみたいだ。
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