氷菓(原作沿い)
□12.寸鉄少女の見解
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摩耶花ちゃんがえるちゃん同様に、コピーを配る。
ざっと読んでみたけど、言葉が何とも…難し過ぎて何を論しているのかすら、充分に伝わってこない文章だった。
「これ、漫研の昔の文集漁ってたら出てきた冊子。
『団結と祝砲一号』ってタイトルだけど、二号以下は見つからなかったわ。
発行は、ちーちゃんのと同じ三十二年前ね。
『氷菓』に載ってることなら他の部活の文集にもって思って図書室を調べたんだけど、さすがに三十年も四十年も続いてる部活って滅多になくって。
漫研もまだその頃はなかったみたいだけど、本と本棚の間にこるが落ち込んでたのを偶然見つけたの。
……凄いでしょ?」
そんな所にあったこの本を見つけた摩耶花ちゃんも凄いけど、何よりこの時代がかった文語が1番凄いと思った。
時代背景がありありと表現されてる。
摩耶花ちゃんは制服の胸ポケットからメモ帳を取り出して、要点をまとめて説明していく。
その間、私は資料の『斗争』という言葉の意味に興味を持って行かれていた。
元々、自分のボキャブラリーに自信がある訳ではないので、大して何か思う所はないけど、気になった。
「報告は以上ですか?」
「うん。」
摩耶花ちゃんの報告が終わって、次は質疑応答だ。
「では、質問ですね。」
えるちゃんがそう言うと、間髪入れずに折木君が口を開いた。
「トソウって何だ?」
『あっ…。』
私も考えていたことを、折木君が質問すると、福部君も口を開いた。
「トソウって何だい?」
私は福部君でも知らない言葉があるんだと、少し驚いていたけど、質問をした折木君は疑いの目を福部君に向けながら、コピーを指さした。