氷菓(原作沿い)

□11.古典部部長の見解
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「誰でもいいだろう、千反田、お前からやれ。」


狼狽えているえるちゃんに、折木君が進言した。


「ああ、そうですね、そうします。
じゃあ……、私から時計まわりに報告していきましょうか。」


そう言って、えるちゃんはお盆の中のコピーをみんなに配り始める。


そのコピーは、古典部文集『氷菓 第二号』の序文だった。
折木君やえるちゃん…多分、摩耶花ちゃんや福部君も反応から察するに、既にこれは見たのだろう。

この序文は初めて見るので、きっと私が休んでいる間に、みんな目を通したに違いない。



コホンッ…

えるちゃんは一つ咳ばらいをすると、説明を始めた。


「私の当たった資料は、『氷菓』そのものです。
毎年の『氷菓』の記事がどのような傾向を持っていたのか把握する必要もありましたし、序文で触れられていることなら、他でも触れてあるかもしれないと思いましたから。
でも、内容の把握はできましたが、残念なことに、三十三年前のことに言及しているような文章はこの序文だけでした。
その分集中して読めたと思えばいいのかもしれませんが、でも創刊号があれば…。
とにかく、これから読み取れる事実をまとめたのが、こっちのプリントです。」


そして二枚目の紙が配られた。
そこには、この序文からわかる事実が五つの項目で並んでいた。


これなら私でも要点を掴むことができる。


暫く間を置いてから、えるちゃんは説明を再開した。
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