氷菓(原作沿い)

□9.気になる二人
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もう一度えるちゃんの様子を見ると、せっかく念願のバックナンバーを手に入れたのに、無表情のままだった。


「千反田、これがどうかしたのか?」


折木君が私の持つ氷菓を指さすと、えるちゃんは彼を連れて教室の隅に行ってしまった。


ここからだと、二人が何を話しているのか聞き取れない。


「ちーちゃんと折木、何の話してるんだろうね…。」


『なんとなく重要な話みたいだね。』


私たちは、お互いに目を見合わせて余計な詮索をやめた。


『じゃあ、他の文集も見てみようよ。』


「そうね、全部揃ってるか調べてみないと。」


そこから二人で氷菓を第一号から順に、並べてみた。


その作業中も、えるちゃんと折木君が気になって何度か手が止まってしまった。

別に私が気にすることじゃないのに…。

というより、これってただの野次馬根性ってやつじゃないの?
うわー、私って嫌な子だな…。
二人には二人の事情があるのに、私ってば。

そんな自己嫌悪に陥っていると、隣から摩耶花ちゃんが「大丈夫?」と声をかけてくれた。


『うん、大丈夫。
今日はちょっと色々あったから少し疲れたのかも。』


「そっか…。じゃあ、さっさと並べちゃおうか。」


『うん。』


こんな自分勝手な理由で自己嫌悪してるだけなのに、摩耶花ちゃんに迷惑をかける訳にはいかない。


私も今度こそ作業に集中した。



そして並び終えてみると……


「なによこれ。
創刊号だけ欠けてるじゃない!」


あれだけあった文集の山の中には、肝心の創刊号がなかったのだった。
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