氷菓(原作沿い)

□7.解かれた文集の封印
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「先輩。
どうもこの部屋は物が多くて、探し物には手間がかかりそうです。
ご迷惑でなければ、大出先生にも手伝ってもらって徹底的に捜索したいんですが、いいですかね?」


真面目な様子の折木君に対して、遠垣内先輩の眉はぴくりと動いた。


折木君の真意は未だに掴めていないが、要するに、遠垣内先輩はここを「徹底的に捜索」されたくない理由があって、しかも先生が絡むと更に都合が悪いのだろう。


「……駄目だ。
あんまり引っかき回さないでくれと言っただろう。」


『責任持って全部元通りにするので、お願いします。』


「駄目だと言っている!」


突然声を荒げだした遠垣内先輩。


「ああ、ごめんなさい遠垣内先輩。
いいんです、ないのなら、仕方がありませんから。」


えるちゃんが鼻声で懸命に執り成そうとするが、遠垣内先輩は更に声が荒げた。


「大体、俺は忙しいんだ。
明日の編集会議までに何かアイディアを出さなきゃいけない。
折角何か浮かびかけた所に入り込んできて、何が徹底的に捜索だ。
ここにおまえらの文集はないんだ、わかったら帰れ!」


興奮した様子の遠垣内先輩は、一気にまくし立てた。

一方で、折木君は口元だけ友好的な笑みを作った。


「先輩。俺たちは薬品金庫の中身に興味があるんですよ。」


「…なんだと。」


「薬品金庫の中に文集があるはずなんですが、先輩がないというなら仕方がないですね。
あれさえあれば、先輩の手を煩わせることもないんですがね。」


この感じだと、多分遠垣内先輩は折木君のカマとやらにかかったのだろう。

…イマイチどれがカマかわからなかったけど。


「ところで先輩。
俺たちはこれから図書室に用があるんですが、俺たちが行った後で、もし文集が見つかったら地学講義室に置いておいてくれませんか。
鍵は開いてます。」


折木君がそう言い足すと、遠垣内先輩は本気で怒ってしまったようで、顔を歪ませながら折木君を睨みつけている。
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