氷菓(原作沿い)

□6.文集探しの旅
5ページ/6ページ

「あの、先輩。
部室、ちょっと探させてもらっていいですか?」


「君は」


「古典部の伊原摩耶花です。
文集は遠垣内先輩には無用のものですから、もしかしたら見落としているのかもしれないでしょう。」


『部活の邪魔にならない程度にします。』


「お願いします。」


「俺からも。」


三人で畳み掛けると、遠垣内先輩は渋面になった。


「あんまり、部外者に入って欲しくはないな…。」


すると摩耶花ちゃんがにやりとした。


「先輩、でもここは、部室である前に教室でしょう?」


摩耶花ちゃん、カッコイイ!!

私が感動している隣では、折木君が笑いを堪えていた。


「…わかった。いいよ、探せばいい。
けど、あんまり引っかき回さないでくれ。」


そう言って遠垣内先輩は、やっと生物講義室の扉を開いた。



地学講義室とほとんど変わらない教室の様相。

一つ異なるのは生物準備室があること。


教室をキョロキョロと見回している間にも、新聞部の話が進んでいた。


聞き流しつつも、何とか頭に留まったのは、ここ壁新聞部が1番古いってことだけ。


「この部屋にはないみたいね。」


私と同じく、ざっと見てまわった摩耶花ちゃんがそう言った。


『そうだね。』


私も見回してみたけど、それらしきものはなかった。


じゃあ、残るは……


「準備室も見せてもらいますね。」


「……ああ、いいよ。」


折木君の問いに、少しの間をおいた遠垣内先輩。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ