氷菓(原作沿い)
□6.文集探しの旅
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「あの、先輩。
部室、ちょっと探させてもらっていいですか?」
「君は」
「古典部の伊原摩耶花です。
文集は遠垣内先輩には無用のものですから、もしかしたら見落としているのかもしれないでしょう。」
『部活の邪魔にならない程度にします。』
「お願いします。」
「俺からも。」
三人で畳み掛けると、遠垣内先輩は渋面になった。
「あんまり、部外者に入って欲しくはないな…。」
すると摩耶花ちゃんがにやりとした。
「先輩、でもここは、部室である前に教室でしょう?」
摩耶花ちゃん、カッコイイ!!
私が感動している隣では、折木君が笑いを堪えていた。
「…わかった。いいよ、探せばいい。
けど、あんまり引っかき回さないでくれ。」
そう言って遠垣内先輩は、やっと生物講義室の扉を開いた。
地学講義室とほとんど変わらない教室の様相。
一つ異なるのは生物準備室があること。
教室をキョロキョロと見回している間にも、新聞部の話が進んでいた。
聞き流しつつも、何とか頭に留まったのは、ここ壁新聞部が1番古いってことだけ。
「この部屋にはないみたいね。」
私と同じく、ざっと見てまわった摩耶花ちゃんがそう言った。
『そうだね。』
私も見回してみたけど、それらしきものはなかった。
じゃあ、残るは……
「準備室も見せてもらいますね。」
「……ああ、いいよ。」
折木君の問いに、少しの間をおいた遠垣内先輩。