氷菓(原作沿い)

□5.謎解きスタート
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『今日は本当にありがとうございました。
あ、えるちゃん。入部届けは明日持ってくるね。

それじゃ、摩耶花ちゃんに福部君もこれからよろしく。』


二人とも笑顔で返してくれた。


「よろしく。」


「私も古典部に入るつもりだから、よろしくね。」


どうやら、摩耶花ちゃんも古典部に入るみたいだ。


可愛い子が二人もいるなんて…古典部って去年まで部員0の部活だったのに…。


そんなことを考えながら、図書室を出て昇降口に向かった。




『あ、折木君。』


昇降口に到着すると、ちょうど靴を履いた所の折木君がいた。


『あれ、折木君の方が先に出て行ったよね?』


「今日は可処分エネルギーも使い果たしたからな。
帰るだけだったし、大して急がなかっただけだ。」


『私なんて、雨が降り出すんじゃないかと思って、少し急いで来たのに…。』


「効率的…とは言えないな。」


さっきまで降っていた雨が、一時的にやんだので、自然に折木君と二人で帰ることになった。


『文集はどこにあるんだろうね。』


「そうだな…図書室にないとするなら……。
部室はもう検証済みだからな…。」


歩きながら顎に手を当てて考える折木君。


『まぁ、意外とひょんな所から手がかりが見つかるかもよ?』


「それも勘か?」


折木君は苦笑しながら聞いた。


『うん。
自分で言うのもなんだけど…勘は良い自信があるよ。』


「確かにな…。

謎が解けたのも、苗字の見解のおかげだ。」


『え?…いやいやいや…。
今日の功労者は折木君だよ!
若しくは、絵の具の匂いに気づいたえるちゃんとか。』


「省エネ主義の俺にとって、功労者の称号ほど似つかわしくないものはないがな…。

まあ、俺もあの嗅覚には驚かされた。」


『何の匂いもしなかったよね。』


そこまで言って、例の一件を思い出してしまって、顔が再び熱くなった。


そっと折木君を盗み見ると、彼も思い出してしまったのか、頬がほんのり紅潮していた。


『あっ…えっと……、じゃあ、私はこっちだから。』


「あ、あぁ…。
また月曜日にな。」


『うん、バイバイ。』


顔の熱を冷ましたくて、少し駆け足で風を切りながら家に帰った。
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