Fate/Zero・stay night
□運命的な出会い 5次ランサー
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その運命的…というには大袈裟な出会いを、学校一のお人よしである衛宮君に延々と語っていたら、いつの間にか彼は冷や汗ダラダラで、机に突っ伏していた。
「ちょっと、衛宮君。
ちゃんと聞いてますか?」
「あー、聞いてる聞いてる…
苗字の一目惚れの相手が、知り合いで、よく家に食いに来てるなんてことはないから。」
「そうか…。
ふむ、残念だなぁ…。」
どうやら衛宮君は知らないらしい。
「…苗字の話を聞く限り…そいつ、チャラそうじゃないか?
(事実、チャラいけど…)」
うーん…
確かにチャラい雰囲気だったけど、惚れてしまったものは仕方ない。
別に惚れっぽい訳ではない。
むしろ人生初の一目惚れにテンションが上がってるぐらいだ。
「時に衛宮君、久しぶりに君の手料理が食べたいです。」
そう言った瞬間、衛宮君の顔は青くなったが、観念した様に深い溜め息をついて了承してくれた。
「乗りかかった舟だしな。
苗字の恋を応援してやるよ。」
衛宮君は立ち上がって、いつもの人の良い笑みで言った。
恋とご飯が何の関係があるのだろう?
美味しい料理で恋を応援するということかな?
まぁ、何より…美味しいものが食べれるなら願ってもないことだ。
「お邪魔しまーす。」
「ちょっと賑やかだけど、気にしなくていいから。」
衛宮君のお宅で夕飯をご馳走になることになった私は、衛宮君に続いて家に上がった。
言われてみれば、家の奥の方から数人の声が聞こえる。
「衛宮君の家はこんなに人がいましたっけ?」
私はこの家の前の主人である衛宮切嗣さんがご存命の頃から、度々足を踏み入れているが、はて…当時は切嗣さんと衛宮君の2人暮らしだったはず。
「あ…まぁ、色々あって人が増えたんだ。
き、気にしないでくれ。」
そう言われてしまえば、よそ様の家の事情に口出しする訳にもいかないし、する気もないし、とりあえず…
「衛宮君、お腹がすきました。」
そう言うと衛宮君は頭に手を当てて溜め息をつきました。
なぜ?
「苗字ってセイバーに似てるよなぁ…。」
何やら衛宮君が呟いたが、私の耳には届かなかったので、首を傾げておいた。