氷菓(原作沿い)
□9.気になる二人
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氷菓の創刊号だけがないとわかった翌日、私はというと風邪のため床についていた。
夏風邪と言えば、えるちゃんはもう治ったかな?
彼女の慎ましやかなくしゃみを思い出すと、そこ経由で感染したとは、考えにくい。
『やっぱり、髪の毛よく乾かさずに寝っちゃったからかな…。』
昨日は疲れ果てていたのか、お風呂上がりにゴロゴロしていたら、眠ってしまっていた。
その結果、朝起きてみれば、喉に違和感を感じるし、くしゃみも止まらない。
そして極めつけは、体温計に表示された数字だった。
それにしても、えるちゃんと近いタイミングで風邪をひくなんて、こんなちょっとした偶然に笑ってしまった。
きっとえるちゃんのことだ…自分のせいなんじゃないかって心配してるんだろうなあ。
復帰したら、ちゃんとえるちゃんの誤解を解こうと心に決めたところで、意識を手離した。
目を覚ますともう夕方でだった。
思いのほか、ぐっすり眠っていたみたいだ。
もうひと眠りしようかと考えたけど、眠れそうになかったので、ベッドの上でゴロゴロすることにした。
すると……
ピンポーン…
来客を告げるインターホンの音が鳴った。
親はまだ仕事から帰ってないみたいだったから、私が出なくちゃ。
近くにあったカーディガンを羽織って、乱れた髪を手櫛で簡単にまとめながら、玄関へ向かった。
『はーい…今、開けま…………………………折木君?』
「よお。」
ドアの外には、折木くんが立っていた。