〜黎明の桜・原田左之助の抄〜
□玉簪〜第三章〜
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甲「な、なんなんですか、これは!?」
ふと、声が響く。
歳「……ちっ」
甲「そこの隊士はどうしたんですか!?あぁっ、部屋を血で汚すなんて!なんて下品なっ!!」
伊東さんは尚も講義を続ける。
甲「幹部がよってたかって隊士を殺して……。説明しなさい!一体、何があったんです!?」
伊東さんの興奮する声が響く。
山「皆、申し訳ありません。私の監督不行届です」
千「山南さん………」
山南さんの登場で千鶴ちゃんは驚いているようだ。
甲「さ、さ、ささ、山南さん!?な、なぜ、あなたがここに……!!」
山「その説明は後ほど。とにかく、この場の始末をつけなくては」
新「山南さんのせいじゃねぇよ。」
平「薬の副作用、ってやつなんだろ?しかたねぇって」
皆はさも何もなかったかの様に普通に話をする。
甲「ちょ、ちょっと、どういうこと!?薬?一体何の話、山南さん!?」
山「……この件に関して、お答え出来ません」
甲「私は、山南さんは亡くなったと聞かされておりましたのにねぇ。皆して、この伊東をたばかっていた、と?この伊東は、仮にも新選組の参謀ですよ?その私に黙ってはかりごとを……。納得のいく説明をしてもらえるんでしょうね!」
伊東さんは怒りが収まらない様子でまくし立てる。
歳「ああっ、いちいちうるせえんだよ、てめえは。ちっとは黙っていやがれ!」
副長はそんな伊東さんに怒りを表す。
甲「なっ!?なんて口の利き方を……。土方君、あなたは……!!」
勇「まあまあ、伊東さん。歳も、悪気があるわけじゃないんだ。状況が状況だ、勘弁してもらえないかな。」
甲「あぁ、なんて野蛮な人たちっ。この伊東、こんな方々と一緒になんていられませんわ!山南さん、あなたの口からちゃんと事情を説明してもらいますからねっ」
とりあえずは、局長の一言で伊東さんはその場を治める事にしたらしい。
その時−−−
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