〜黎明の桜・原田左之助の抄〜

□君影〜章間〜
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今日はいい天気なので、幹部の皆の布団を干して、敷布や掛布を洗った。

綺麗に並べて干すと実に気持ちいい。

私は洗濯物が風に靡く様子を見ていると、永倉さんがやってきた。

新「お、妙ちゃん、今日も精が出るね。」

「永倉さん、おはようございます。朝練ですか?」

新「おうよ。」

まだ朝も早い時間だ。

そろそろ皆、起きる時間だとは思うけど。

こんな早い時間に永倉さんが朝練するなんて珍しい。

いつもは、夜遅くまで飲んでいるから朝練をしている姿は余り見かけないのだけれど。

「永倉さんが朝練なんて珍しいですね?」

新「そう!それがよぅ、聞いてくれよ!左之が変なんだよ!」

永倉さんは困った様に私に言った。

「……え?」

えっと、原田さんと永倉さんの朝練と何か繋がりがあるのだろうか?

新「妙ちゃん、何か聞いてねぇか?」

「原田さんが……?」

そう言われて、最近の原田さんを思い返してみても変わった様子は見受けられなかった。

「私にはわかりませんけど……」

私がそう言うと永倉さんは神妙な面持ちで話し始める。

新「……ここの所さ、左之の奴島原へ行ってもすぐ帰っちまうし、飲みに行っても何か上の空つーか……。誘っても乗り気じゃねぇし。俺も暇な訳よ。あまりにも暇だから朝練をしたって訳。」

なるほど、永倉さんは今まで夜遅かったのが早く休む様になって早く目が覚めてしまったから朝練をした、っという話か。

私は話のつじつまが合って納得した。

けれど、永倉さんの話だと原田さんの様子がおかしいのは確かだ。

今まではよく永倉さんと一緒に夜遅く帰って来てたみたいだし。

「永倉さんと一緒だから、気を許してて上の空なんじゃないですか?」

私はそう言ってみたけど、永倉さんはあまり納得していない様子だ。

新「確かに仕事はきちんとこなしているんだよな。けどよ、飲みに行っても俺の話が耳に入らないつーか、心ここに在らずって様子でよぉ……。まるで恋患いしてるみてぇな……」

永倉さんは自分でそう言って妙に納得した顔になった。

新「そう、そうだ……左之はもしかして誰か想う人が出来たのかもしんねぇ…。」

永倉さんの言葉に私の胸がドキンと嫌な音を立てる。

原田さんに好いた人……?

確かに居てもおかしくはない。

島原にも行ってるみたいだし、原田さんはモテるから……。

やっぱり私じゃ、ダメなんだ……

どんな人なんだろう?

やっぱり綺麗な人なんだろうな。

私なんかじゃ真似出来ないくらい綺麗な人……

そう思うと悲しくなった。






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