私は毎日同じ電車の、同じ車両に乗っている。
それでも黒羽君とは、あれから1週間あっていない。
体を重ねたあの日から、一度も顔を見ていない。
よく考えてみると、連絡先すら交換していないのだ。
あの日だって、好きだと言われたわけでもなく、キスの一つだってしてくれなかった。
毎日電車で触らせるような女、好きになんてなってもらえる訳がなかったのだ。
『はぁ…………ん!?』
今、お尻に何かあたった?
満員電車だ。誰かの荷物でも当たったのだろう。
『……!?』
また何か当たった。いや、触られてる!
手のひらでさすられている。とても軽く、優しい手つきともとれるような触り方で、スカートの上から触られている。
もしかして、黒羽君……?
そっと振り返ってみると、そこには知らないおじさんが立っていた。
『……!?あ、あの……』
「君、毎日ここで彼氏といやらしい事してたでしょ」
『……!?』
「静かにしないと、そのこと学校にバラしちゃうよ?」
どうしよう怖い。バラされるって何を?どうやって?
写真でも撮られたのかな?私がパを見せてるところとか?
おじさんは優しく優しく円を描くように、私のお尻を撫でまわす。
「おじさん、おとなしくてエな子は大好きだよ」
気持ち悪い。
「彼氏がいる子に最後までさせてくれなんて頼まないから」
気持ち悪い。
「そのかわり、直接触るのだけは許してね。」
気持ち悪い!
お尻をさすっていた手が離れ、太ももの内側をさすりだす。
その手は徐々に上がっていき、私の大事なところに触れそうだ。
おじさんの鼻息がどんどん荒くなる。
やだやだやだ!助けて、黒羽君!