□道中
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「じゃあ、京都行きはこのメンツで決まりな!


ワシに六郎、才蔵に伊佐那海」


______そしてりん


「残りの者は留守を頼む。」















ことの発端は幸村に届いた招待状。徳川が茶会を開くが為、各武将を呼ぶとのこと。
それには幸村も行くしかあるまいと、のことで数人を護衛にし、京都へと向かうのだった。


京都に向かう道中にて才蔵と伊佐那海、幸村、六郎と三頭の馬にまたがり、森の中を歩いていた。


時々、伊佐那海が崖を見つけては谷を越えてはきゃっきゃと騒ぎ才蔵と共に乗せている馬を揺らす。
馬の他にも一名、揺らされむっとする人物がいた。


『……(なんで私まで?


というか、そろそろ静かにしてくれー。眠れない。)』


伊佐那海の影に隠れるりんだった。


りんは旅にとって重要な役にも使える。
それはというと、彼女は夜行。
才蔵が朝昼伊佐那海と共にする他敵の急襲にいち早く戦える。

りんは夜見張り、森での野宿の際の食料調達に長けている。
夜の嗅覚は敵無しと言っても他言ではないだろう。奇襲も得意である。
才蔵とりんは対の存在であり、この二人がいればほぼ敵なしであるともいえる。


「アタシ、馬で旅するの初めてー!
らっくちんだねー!


でさでさぁ。これってお姫さまと若君様みたいじゃない?


あと家来。」


『家来!?
何?それは私のことをいってんの!?』


「いいや、全っ然。


つーか、りん。
昼だぞ?寝なくていいのか?」


才蔵が自分等が映る影に向かって問う。
返ってきたのは文句と願望である。


『揺らされ、騒がれ、

これで寝れるだと?
無理に決まってるんじゃん!!
本当そろそろ寝させて欲しいよ。』


「…………だとよ。伊佐那海。」


「なによもう!!
雰囲気台無し!!」


「あんまりうるさくすると下ろすぞ!!」


『そーだそーだ。下ろせ下ろせー。


…………はっ!
私、伊佐那海の影にいるから道連れになっちゃうじゃん。』


「残念だねー。りんー。」


『……………早く夜になって欲しいよ。』


……………………夜だけの体って結構キツいんだよ?
なんて独り言をぶつぶつ言ってても馬に乗ってるものだからほぼ聞こえてなさそうでガクリと肩を落とす。

(※影にいるので肩を落とせません。)


そんなりんにも気をかけず、馬はぬくぬくと進む。



「若!お早く〜!」


「そう急ぐ必要もあるまい


久しぶりの長旅だゆるりと行こう」


「なぁ、京にはどんな奴らが集まるんだよ


"茶会"なんだろ?」


「建前はな


まあ、主なところでは石田三成に直江兼続

無論前田、毛利ら五大老あたりも集まるだろう」


『あとあれでしょ?竜みたいな


蜥蜴[トカゲ]』


「奥州の独眼の事を蜥蜴呼ばわりするとは
(最近りんの口調が荒くなって来ている。)」


『ふん。嫌い。本当』


______キライキライ。













_________ダイッキライ
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