壱
□番外
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一刻(一時間)後、お城へと行った幸村様一行はつくと直ぐ様部屋を割り振られた。
side,才蔵
結局、俺は俺の部屋りんは伊佐那海と一緒になるのだが
………………偶然だよね?とがっかりしながら俺に問いかけていたのは言うまでもない。
伊佐那海に聞こえないように部屋の何処かに自分のスペースを作ろうとりんはグチグチ言っていたのは無視した。
『やけに静かだなぁ。ここは。』
辺りがもっともっと闇へと包まれた頃
寝ることのないと言っていたりんが屋根の上で
だらだらと寝転んで星を見ているのを発見した。ポツリと一言誰にも届くことの無いような声で呟いていたのだが、俺にはしっかりと聞こえた。
俺が今いるところは池の真ん前。
りんが屋根でだらけているのを丁度池に反射して見える。
俺も上を見上げると雲1つも無いようなので星一つ一つが輝きを失うことなく転々と光っていた。
月もそれに対抗するかのように存在を強く示している。
どうやらりんは俺の存在に気づいているらしく
時折どうして才蔵は蔵ちゃんなの
とか寝ないと剥げるぞとかわざとらしくそして俺にしっかりと聞こえるようにブツブツ言っている。
…………………ざけんなよ。
流石にずっと悪口言われれば
俺の堪忍の緒が切れるわけで
「殺すぞ。」
と言えば
『あー。コワイコワイ』
と悪そびれた様子もなく言葉が帰ってきた。
そして
『ふふっ。やあ。』
「うわっ」
気づいた時は俺の背後に居たわけで、本能で苦無を投げてしまった。あ。ヤベ。
キンッ
『…………ちょ、危ないじゃんか。
つーかまだ、私は死にたくないんだよ。』
りんは隠し持っていた小太刀を振り苦無を弾き返した。
その前に
………………何で存在に気づかなかった?
『どうやら私の存在ついて
考えているご様子で』
「……ああ。」
頷くとそうと笑顔で言葉がかえってきた。瞬時だがその笑顔に疑いを持つ。
俺と同じような……人を信じないような心を持った。何か。
俺が考えているうちポツリとりんは話し出した。
『答えは簡単…………生まれたときからずっと心を殺し、存在を誰にも知られないように消していたせいで……』
ずっと此処に来てからヘラヘラしていたりんだったのだが
少しだけ心に潜む闇が見え隠れしているのを今俺は今やっと気づいた。
俺が最初会ったときのこいつの第一印象は幻のくの一だからというより
何を考えているか全く読めない女という方が勝っている。
『………が………ぃ……』
「は?」
ちいさーく何かを呟いていたので
耳をすましてよーく聞いてみる。
『……………食べれない』(ボソッ)
「…………は?食べれない!?」
『美味しいものが食べれなかったし、美味しいものって何なんだよコノヤロー』
「…………………」
言葉を失った。真剣に聞いていて呆れた。
がっかりだよ。クソアマァァァァァ!!
『生まれてから干した餅しか食べたこと無いんだよ!!』
「…………………だから小さいのか……」
『………黙れ!!』
キレだしたりん
小さいこと=コンプレックスだったようだ。
『ふんっ。もう明日から
才蔵は蔵ちゃんと呼んでやるんだもんね。バーカ。アーホ。おたんこなーす。』
と俺に怒鳴って何処かに逃げた。
もう一度言う。逃げた。言い逃げだ。
当然俺は
「蔵ちゃん、蔵ちゃん何度もいってんじゃねーか。いい加減にしろよクソアマァァアァァァア!!」
やっぱ、訂正する。
あいつ、りんは馬鹿だ!!大馬鹿者だ!!
俺の怒濤が城中に響き渡った!!
このあと六郎に超音波みたいなもので意識を失い。
朝起きたら伊佐那海と寝ているなんて
今の俺には知るよしも無いだろう。
side,才蔵おしまい。