壱
□皆で温泉といっても
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ぷかーー
『………………』
ぷかーー
ぎゃーぎゃーわーわー
『…………………』
「向こうは騒がしいわねえ
なにやってんのかしら」
「アナ、つからないのー?」
アナスタシアと伊佐那海によって無理矢理脱がされ触られ放題だったりんは逃げる犬の如く風呂にと逃げ込んだのだが
『…………………(やられた。)』
逃がすまいと風呂でも追いかけ回され触られ放題で疲れはてた。
何が言いたいか。こっちも煩かった。
…………………途中変な声だしてしまったのは割愛。
現在、ぷかりと湯に浮かぶりんに普通通り大人しくなった、伊佐那海とアナスタシアは湯に浸かっていたのだが
「ホント熱いの苦手なのよ
早く上がりたいわ」
「ええっ、ご飯も食べてないじゃん!
もう少し入ってようよ
ホラ!すごくおいしそーだよ!」
伊佐那海は湯に浮かぶ御膳に箸を伸ばし天ぷらの一つ海老を掴んでアナスタシアに見せる。
りんもちらりと自分の御膳に目を通すと先程伊佐那海が掴んでいた海老が目に入る。
『……………うま、そう』
ゆーっくりゆーっくり手を伸ばし箸を掴んで海老を掴む。そして海老を口にへと運ぶ。
口にへと入れた後、歯をゆっくりと上下させ海老の味を確かめながら飲み込む。
モグモグモグモグ………ゴク
『…………なにこれマジ旨い!!』
始めて食べるりんにとってとても美味だったようでぐんぐんと他のものにと手を伸ばしパクパクと食べていく、全て旨い旨いと言いながら。
「……………ああっもうダメ!!
限界だわ!!」
ザバーッ
「アナ〜〜〜。」
「そこ!そこの岩にいるから!
入ってんのは無理!!」
チラリとアナと伊佐那海に目を向けると、先程まで我慢していたアナスタシアが熱いということで湯から出て、岩が重なったところにて座っていた。最後の米の一粒を食べ終わった後だったのでアナスタシアの御膳が………ほぼ手付かずのまま独りでに浮かんでいた。
『アナ〜。』
「ん?」
『ご飯食べていい?』
「良いわよ。」
『うっひょーい』
ザバザバザバ
『頂きまーす』
モグモグモグ
いいということで犬のようにこぎ足でパタパタと泳ぎ御膳へと手を付ける。一つ一つを手に取り味を噛み締めながら。それを間近で見ていた伊佐那海がポツリ。
「りんって意外に大食いなんだね。」
『ん?朝昼食べれないからその分を取ってるだけだよ?
といっても私、実際は小食なんだけど。』
「だからヒョロヒョロなのね」
『煩い!!アナスタシアは少しお黙りなさい!!』
「小食なのにヒョロヒョロなのになんで胸大きいのよ。羨ましい」
伊佐那海は食べるりんを見て時々視線を下に向ける。
そしてじーっとりんが何見てるの?と疑いの目をむければ私もおっきくなりたーいと小声でポツリと言った後と分かりやすく目線はりんの胸。
苛立ったのでザバンと肩まで浸かる。
『邪魔だから何時もサラシで胸潰してるけどね?
伊佐那海の様に小さい方が羨ましいよ。』
「りんなんて知らず知らずの内に何処かの見ず知らずの男に抱かれてるから大きいのよ。」
「え?りんってそんな女の子だったの!?」
『アナスタシアー?
そんな嘘はやめてくれない?』
キリッと嘘をいうアナスタシアにムッとした。
………………んなもんしたことないよ!!
けれども伊佐那海は信じてしまったようで、うんうんわかる気がすると頷いていた。
「美人だもんねー。
男なんてきっと一目りんを見れば好きになっちゃいそうだもんね。」
『伊佐那海?何いってるの!?』
「もしかすると才蔵も抱いていたりしてね。」
「うっそ!?最強の恋敵!!」
「最近コソコソしてから」
「『してないよ!!/してねーよ!!』」
被った。どうやら才蔵もちょこんと殿方の風呂にて耳にしていたようでりんと声が被った。
「あら、才蔵よく聞こえていたわね。」
「声がでかすぎるんだよ!!
それにりん!!
その話本当なのか!?」
『は?才蔵が何で私にそんなこと聞くの!?
全て嘘だってばー!!
一度もないからね!!』
…………………才蔵のくせして生意気だ!!
「…………………」
『あり?才蔵?聞いてた?』
「きっとホッとしてるんだろうね。」
「りんと才蔵か〜。
ううん、恋のライバル!!
これは負けられない!!」
伊佐那海は何かに火をつけたようだ。それを無視しりんはパクリとご飯を最後まで残すことなく食べ終わり犬のように泳ぎだした。
…………………伊佐那海の言ってること意味わからん!!