壱
□黒ノ狼
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2日、3日たった夜。
『………………』
傷もほとんど塞がり、回復してないのが肩から斜めに通ってある埋め込まれているような狼のような骨だけ。
至るところが砕けていて痛々しく感じる。2日、3日では治らなかった。
しかし、黒のコートを着ているので背中はどうなっているかは見ていない他の人にはわかるまい。
りんは森の木の枝に座り。狩りの準備へと取りかかる。
『……ガガ……ガアアアア……』
もはや、りんの声は体は目は何もかも異常だった。
目も片方が赤かったのに今ではもう両目がドス赤黒く光っている。
人間なようで人間ではないそんな存在を引き出している。
『………………』
パッと居た場所から一瞬にして消えるとしばらくして卑劣な叫び声と笑い声が遠くから聞こえるのだ。
城の庭にて
「りん」
パッ
『何?私を呼び出して。服に付いた血を早く取りたいんだけど。』
あ。あと顔に付いた血もね。
さっと口を服で拭うとでろーんと服に付いた。汚な。
『で。何でしょうか
幸村サマ?』
ギロリと睨むと"おお怖っ"と返ってきた。ニヤニヤするな。睨んでるんだぞ?
『…………。』
この状態が続いて数秒。睨む気失せた私は態度を改めはぁと溜め息を一息してからどうしましたか?と聞いてみる。
「どうやら伊佐波海が北側の方に連れていかれたらしいんだ。
佐助とアナが向かったのだが、心配でだな。『大丈夫でしょ。佐助とアナだもん。』
ゴホン。りんも行ってもらえると有り難いのだが。『ねぇ私の話聞いてた?』」
どうやら私の話を全く聞いてくれないようで……イライラしてだんだんと地団駄を踏むも……幸村様はただ独り言で何かをブツブツ言いながらうんうんと頷いていた。
はぁ。ここでも私はこんな扱いなんだな。
『………佐助とアナの匂いがしないのはそのせいだったんだ。
いいよ。本当は主にしか命令は聞かないのだが
才蔵と同じように色々と借りがあるからね』
「本当か?」
『うん。』
良いことだとちゃんと話聞くんだな。幸村様目を輝かせないでもらえます?
え、借り?大丈夫。才蔵よりは多くない筈だ。
『けど、条件を付けたいな。良いかな?』
「うむ。言ってみろ。」
うんと頷くと幸村様の耳に近づいて話始める。
話終えると一歩離れて良いかな?と訪ねる。
幸村様というと
「……………………」
はじめはぽかーんとしていたが数秒してニヤリと口元が上がり、ふふふと笑いだした。
「そうかそうか。やっとだな。よし、その条件を飲もうじゃないか!!」
『はっ、ありがたく存じ上げます。』
方膝を地面につけてお辞儀をすると幸村様は頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
撫でないで!!髪がグシャグシャになるぅぅぅぅぅぅ!!!!
「なんとしててもウチの勇姿を連れ戻してこい!!」
『承知!!』
頭を下げるとさぁあと一瞬強風が吹いた。その事に驚き目をつぶり、止むのと同時に目を開けるとさっきまでいたりんがそこから一瞬のうちに音もたてずに消えていった。
________手助け、人助けなんでもする。だから此処に住まわせて欲しい。_______