□強くなれる理由
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夕暮れ時


「ーーったく……


楽しい祝いの席が台無しになっちまったなぁ…
民にまで犠牲を出しちまって……」


扉の端に腰を預けこれは狸との戦だやむを得ん…うん。と自己納得している幸村。


幸村が腰を預けている部屋の中には6人普通に座っている者もいれば考え事をしている人もいる。


「お前ら6人が…いや7人か。いてくれたお陰てこの程度で済んだんだろうよ」


なあ我が勇者たちよ。


霧隠才蔵

アナスタシア

猿飛佐助

海野六郎

筧十蔵

伊佐波海


そして早乙女りん


突然のことで名前を呼ばれた伊佐波海は勇姿って?と疑問を幸村に訪ねる。


「俺が見初めた強者ってところか…


頼りにしたい切り札ってなもんだ」


「強者?頼りにしたい?


私も!?私も!?」


「ああそうだ 伊佐波海はかわいいのが役割だぞ。」


嬉しくてきゃーーっと叫ぶ伊佐波海の後ろで喜ぶ所違。と突っ込みを佐助がいれた。


「そんな生ぬるいことを言ってる場合じゃないでしょ?


なんで真田は目の敵にされてるの?白昼堂々攻め入ってくるなんてフツーじゃないでしょ?」


アナのごもっともな言葉に幸村はそれは決まってんだろと返した。


「俺が美丈夫で女にモテすぎだからだ。」


幸村以外から沈黙が走ったのは当たり前のことだった。


「またそうやってお茶を濁そうとなさる。皆にちゃんと説明しないとおさまらないですよ」


「"ちゃんと"とかってガラじゃねーんだが……」


ガシガシと頭をかく幸村。


…………ねぇ、その前に私の存在消えてるくね?


「まあ一寸俺の話を聞いてもらおうかのう


ってその前に」


幸村がパンと襖の戸を閉めた。
間もなく夜になる寸前なので閉めたとたん真っ暗な空間が立ち込める。


『はぁ、はぁ………は……っ…』


やっと出て来られると才蔵の影からりんが出てくる。
部屋は真っ暗なままだがりんの赤い目がちょこんと照らす。完全に辺りが見えると思うのは忍者くらいだろう。


ボタタタタ


「「「!!!」」」


その驚きは傷だらけのことですか?それともさっきまで空気だったことですか?血が出たことですか?
さっきまで動けなくて傷を放置しながら寝てたんですよ。
あはあははは。なんて心で言うが口には出せそうもない。


何処かの臓がやられて上手く声が出ない。


『ゲホッ……ガハッ……幸村様、このタイミングで私を出すとは……ビック…リ…だったよ。』


もう声がガラガラだ。血の味がする。


「お先にりんの治療が先だと思ってな。」


気持ち悪くて咳をすると赤黒いものが咳と一緒に出てくる。


佐助と幸村様は叫ぶと承知と佐助は返す。逆に私はというと貧血ぎみでフラフラしながらああ、治療ね。ハイハイと声を枯らし幸村様に言う。


血流しっぱなしなのに死ななかったなぁ。素晴らしいわ。


「頼んだぞ」


「諾」


さっと私を腰に担ぐとパッとそこから消えた。


私の扱い酷くね?












その後、一時間そこらで戻ってきた佐助に幸村は話を進める。


…………私?薬を塗られ、包帯を至るところに巻かれ、最悪なことに布団でぐるぐるにされ治療室(?)で寝かされています。
つまりは仲間外れって訳ですよ。
つか、まだ私を伊賀者ばりに仲間外れにしてるのか佐助!!




「一匹の狸がこの真田の地を奪おうとしておってな一度手ひどく追い返したのがよほど気に入らんらしい」


幸村様の言いたいのを簡潔にまとめると


上田は上の越後から上信濃と関東からといろいろと便がよいため戦の時欲しい領地らしい。


「こおんな山奥の小さいお城がそんなに重要なの!?」


「小さい余計だ。


まあ、戦を知らねばわからぬであろうが」


戦ね……とアナはポツリとこぼす。


「そうだ
大きいうねりが来ようとしてんだ、まさに今。


太閤(秀吉)が亡くなって一年狸が本性を出してきやがった。
今までコソコソ裏で働いておったが……奴め情勢を一気にひとくれ返そうとするぞ」


「で………でもなんで幸村様がしつこく狙われるの?」


「内府(内大臣)殿ともあろうおかたがこおんな片田舎の若侍にやられたのだからな」


ざまあみろだ。
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