壱
□no ten fingers
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side 才蔵
「クククッ男振りがあかったのう」
「…………うるせえよ」
オッサン(幸村)がニヤニヤしている。そのわけは俺の左頬に赤い手跡が残っているからだ。
叩いたやつは勿論伊佐波海。
ワシが教えてやろうかと要らないことを言うのでいらねー。と即答。
とりあえず、聞きたかったことを聞くことにする。
「つーか……なんでアナがアンタのところに?」
川で出会った金髪美女、異国生まれの俺の幼なじみのくのいち。
一緒にいたことによって伊佐波海に叩かれてしまった。浮気者だとさ。なんでだ。さっさと伊佐波海に言えばよかったなと思う今。
「アイツはなワシの寝首をかきに来た刺客だったのよ。
まあ言わずもがなだがワシが返り討ちにしたというわけだ
コッチは自信があるのでな」
「――――オッサン
アンタいったいなにをしようとしてんだ?」
伊佐波海をかくまっておくのも素性の知れない俺、そして主が絶対いるんだとブツブツ言うりん
それに甲賀者やアナほどの手慣――
六郎とかいう小性もだ
オッサンは謎が多すぎる。
「―――――なんだと思う?」
疑問を疑問で返してきたので俺が聞いてんだろとイライラして怒鳴る。
と同時にオッサンは両手を見せてきた。
「ワシにはな
この両の手の指だけの同士が要るのだ。
生憎りんはここにいれるが同士にはならないとグチグチ言ってだがな」