.

□消えてしまった過去
1ページ/2ページ



注意。
この話は映画のネタバレが含まれております。
名前変換も面倒なので
早乙女 りんという名前で話が進みます。
良いよ。という方はどうぞ!!






















「侍の国」
僕らの国がそう呼ばれていたのは今は昔の話
かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には
今の異郷の船が飛び交う
かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には
今は異人がふんぞり返り歩く
そして、万事屋の銀時、神楽、新八のもとにりんが突然現れ波乱万丈の人生を共にした。


だが、それも昔……五年前の話。


今は白詛という死の病におかされ
貧相の暮らしをしていた人以外はほぼ宇宙に飛びだっていった。
前の活気は何処にも見受けられず、店は廃れ、ターミナルも朽ち果てていた。


「…………………早く……帰ってこ…いよ。」


誰も万事屋の看板も糖分と書いていた物も全て元応接室に置いてあり、騒がしかったここ万事屋は誰もいなく、埃まみれと化していた。


いや、違う。一人万事屋にいた。


「……………はぁ………」


りんだ。


主、銀時がいなくなった今、りんがオーナーが使う机に寄っ掛かり座っていた。
体は昔と違い痩せこけ、足はもう動けないよう健を斬り、口からは血を流し、体全体には梵字のようなものが浮かび上がり、目はなにも写していないような虚ろな目だったが暗い部屋には合わない片方の赤い目がまだ死ねないと言っているのか光輝き、万事屋の応接室を照らした。


トントンと誰かが来る音。
少しは動かないとという本能で応接室に来る人を見上げる。
敵ではない。それは匂いでわかる。


「りんさん。今日も食べ物持ってきましたよ。食べてください。」


「…ああ………ありがとよ。


けど、もう体が思うように動けない。」


「…………………」


男はりんの目の前にしゃがみ、ご飯の包みを開き、差し出した。
りんは影で手を作りおにぎりを掴んだ。今日はおにぎりだ。相変わらず美味しそうだと言い、ゆっくりと口を開けパクリと一口。


「…………旨いよ。新…八。」


「…………っ」


首をゆっくり曲げ頬を上げ、昔と違いかっこ良くなった新八に微笑む。それを見た新八は口を噛む。


ゆるゆると食べ、もうお腹一杯と食べれなくなったものを影の手で新八に返した。


「もう良いんですか?
食べないと餓死しますよ。
もう少し食べてください。」


「いい。お腹一杯。
………あのな……オレは主が帰ってくるまで…死ねねーの。」


「だけどっ!!」


ヘラヘラと笑うりんに声を荒らげる新八に何だ?どうした?と聞いた。


「この体ではいつ死んでもおかしくはありません!!」


「…………うっせ、
……中二の格好で言いやがって。」


「誰が中二……おっと!!
ツッコミはもうやめたんだ。」


「…………そうか。
もう聞けないのかツッコミは。」


「……………………」


ほらもう夜だ。そろそろ帰れ。
良い子は寝る時間だよ。と言うと
俺はもう大人ですよ。とかえってくる。だが、りんにとってはまたまだ子供。だからほらさっさと帰れと言うとしぶしぶそうですね、と新八は包みを戻し玄関にへと歩いていった。


「ありがとう。
またよろしくな。
あと、お妙さんによろしく伝えてくれや。」


「……………はい。」


ガラガラと扉が閉まる音にはぁ。と溜め息。
また万事屋が静かになった。
りんは泣くことをせず、無表情でポカンとしていた。


「何年泣いて無かったろ?」


突然の銀時の死去。墓に遺体はない。
ずっとトイレに行ったきり戻ってこなかった。その事を聞き、未だに泣くことをせず、そして、ここ万事屋に今も今もと待ち続ける。
なんど、他のものに"一緒に暮らさないか"と何度言われようがずっと否と言い続けた。
そして、この体。どんどんと何かに乗っ取られていく体は現在、呪詛犬神が完全に奪われまいと対抗し、体全体に梵字が浮かび上がるだけで済んでいる。
いつ呪詛犬神が負けてもこの体が動かないように足の健を切り五年。


「いつ死んでもいい。
けど、オレは……主が…帰ってくるまでここで………」


新八はご飯の為によく来てくれるが、神楽は定春はオレのこの様を見たっきりここに来ることが無くなった。


本当に皆どうしたものか。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ