壱
□ぬるま湯
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「石川五衛門?」
夜中、才蔵に急に起こされた幸村は頭がまだ回っていないのかぼーっとしており六郎がいつもと普通な顔して才蔵の話を聞いていた。
「あやつは釜煎りにされて
死んだろう
化けで出たか?」
「バッカ野郎!!
んなことでいちいち報告に来るかってんだよ!!」
「幸村(おっさん)の命と
奇魂_____あと
呪詛犬神を奪う犯行予告してったぞ」
ぼへーーという効果音がながれそうなまだ頭の回転が回らない幸村。が最初からてに持っていた文をささっと前にずらす。
「色男も度が過ぎるとあしらうのが大変だのう」
ニヤリとなあと話す幸村にオッサンと怒りを露にする才蔵。
そして六郎のため息が部屋中に響く。
「城内まではいってくるとは
なかなかの輩」
「どこの手の者でしょうか」
「さあてな…………
まあワシには優秀な守り駒がおるゆえそうそう取られることはあるまい
なあ才蔵」
「……………任せとけ」
才蔵が上の見張りにいった頃
「…………………りん来い。」
スタッ
『はい。りんめは此所に』
先程まで才蔵が居たところにりんが降りてきた。
「一度手合わせしたんじゃろう
どうだった石川五衛門は」
『知っておりましたか。
まあ………………女の成りして男とは最悪でした。
かなり反射神経もよかったとは
思います。おかげで私の武器は少し減りました。殺しも損ねました。』
「りんが誉めるほどだから手強いんじゃろう『違います!!』」
『次は殺ります!!女だと思って手加減をしただけです!!次は必ず殺らないといけないのです!!
殺らないと私には…………』
________後がない
「やっぱりりんは
呪詛……………犬神なのだな」
『は?犬神?
何をおっしゃってんですか
私は早乙女りんです。』
「お主の家は?」
『そんなの知りません。
何処にあるのかも親は記憶にちょこっと残ってるだけであって誰なのかも知りません。
私は捨てられてますから。』
「……………そうか」
さっと上に飛ぶとりんは
さっきまでいなかったかのように消えていった。
「……………六郎。」
「はい。」
「早乙女家は滅んだのだったな
りんだけを残して」
「ええ、滅ぼしたのは娘のりんだという噂きいたことあります。
それっきりりんの消息は絶えておりましたが………」
「どうしたものかのう
どうやらここに来る前の記憶が」
_______すっぽりと消えているではないか
『……………あー。
主に会いたいよ。一体何処にいるんだろう』
手でコートのポケットからリリンと音が鳴る丸いものを取り出す。
それは主が持つ契約の印、キラキラ輝く小さな鈴であった。
『いつか見つけてやるから
だから覚えとけよ主!!!!』
リリリンと鳴る鈴を空に上げる。
夜空に輝く星と共に鈴も同等に輝いたのだった。