君たちと俺

一人ぼっちの狼さん
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「黒沢!!お前は何度言ったらわかるんだ!!」


昇降口前の廊下に響く怒鳴り声


ざわつく人ごみの中心には、青筋を立てた学年主任


その前には、大あくびをしながら頭を掻く生徒


彼の名前は黒沢了


穂稀高校創立以来の問題児である


制服はあたり前に違反


髪色も違反


ピアスは空いてる


授業は寝てる


むしろ出ない


そして何より


生傷が耐えない


今日とて、まぶたの上に絆創膏を貼っている


「毎回毎回傷を作って!今回はどこと揉め事を起こした!!」


『……………』


怒鳴る学年主任を蔑んだ目で見てただ無言の黒沢


そんな態度に、さらに怒りのボルテージが上がる学年主任


そんな光景は、黒沢が登校すれば常であった


そして、教師に目を付けられていて


見た目もいかつい黒沢


あたり前に、孤立している


彼は一匹狼だ


「何だその目は!」


『…っせぇな』


ぼそっと口から出たのは教師に対する悪態


「何だと!?」


そんな黒沢に顔を真っ赤にして怒鳴り続ける学年主任


それを右から左に聞き流す黒沢


そして、とうとうその場を離れようとする


「待たんか黒沢!まだ話は…っ」


引き止めようとする教師を鋭い双眸で睨む黒沢


彼が進む道は自然と人垣が割る


それに小さく舌打ちをして、黒沢は昇降口を後にした








(寂しいなんて思わない)




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