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□そしてライダーもいなくなる
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ミツル達はひとまず安全そうな廃墟のビルの中に隠れ、一息ついていた。
「モモタロス、ナオキ達はどうなったの?」
『さあな、俺にもわからねえ』
すると突然、奥から足音が聞こえてきた。
『……お前は』
「テディって奴ならさっき見つけた」
奥から出てきたのは、憑依状態のアンクだった。
「着いてこい」
皆がアンクの後を追って外の中庭らしきところに出ると、そこには剣の状態のテディが地面に突き刺さっていた。
『おぉ!テンドン!無事だったのか!』
しかし、モモタロスの声に返事をしないテディ。よく見るとその身体は、至るところが錆び付いていた。
『おいっ、嘘だろ!?テンドンッ!返事をしろッ!……くそおぉっ、何でお前まで……』
モモタロスと皆が悲しみに暮れているなか、アンクはその剣を引き抜く。その時、アンクは地面に埋まっている固い物を見つけた。
「おい、下に何か埋まってるぞ」
「「「!」」」
モモタロスとミツル達は急いで剣が刺さっていたところを掘り返す。するとそこから、お菓子が入っているようなアルミで出来た箱が出てきた。
「タイムカプセル?」
ミツルはその箱を開けると、中から少年仮面ライダー隊の制服とペンダント、そして1枚の手紙が出てきた。
「……!ナオキからだ!」
ミツルの言葉に皆が注目する。ミツルは、皆にも聞こえるように声に出して、ナオキからの手紙を読み上げる。
「40年後のミツルへ。あの後―――
―――あの後結局、1号、2号はショッカーグリードに敗れ、僕と少年仮面ライダー隊は追われる身となってしまった。
テディも僕らを守ってくれたんだけど、深い傷を負って、僕に1枚のカードを託して、そのまま…………
やっとの思いで僕達は、40年後にアジトになるところを見つけて、身を隠す為に少年仮面ライダー隊の制服をタイムカプセルを埋めたんだ。
僕達が―――
―――僕達がっ……伝えたいっ、想いはっ……ただ1つっ……」
ミツルはぼろぼろと涙を流しながら手紙を読み上げる。周りも手紙の内容を聞いて涙を拭う。
刹那、ミツル達の周りに銃撃が放たれた。
「!」
『な、なんだ!』
向こうから現れたのは、先程撒いたショッカーの戦闘員だった。
『こうなったら仕方ねえ!』
「なっ!」
モモタロスは、アンクが憑依している身体に憑依する。
「俺、参上!」
アンクの髪に一筋の赤いラインが入り、オールバックとなった。
『おい!この身体は俺のだ!返せ!』
「うるせぇうるせぇうるせぇ!」
どうやら主導権はモモタロスにあるようだ。
「ミツル!こいつを持って逃げろ!」
「うん!」
「皆、こっちに!」
モモタロスはベルトをミツルに託し、剣を持って戦闘員達に立ち向かう。
「てめぇら……ひとり残らずたたき切ってやる!おらぁっ!」
襲い掛かってくる戦闘員を切りふせていくモモタロス。
「「「「「イィーッ!」」」」」
「があぁぁぁぁぁっ!」
しかし、その圧倒的な数の前に為す術もなくやられてしまった。
捕らえられた映司、幸太郎、モモタロス(&アンク)は上半身をロープで縛られ、怪人達に引かれていた。
「酷い……」
遠くで隠れながらその様子を見ていた比奈の口から、思わず言葉が漏れる。
「……俺、このベルトを絶対に届けて見せる」
ミツルのその言葉に、周りにいた他の子供達が力強く頷いた。
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