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□新たな運命へ
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――現代――



デンライナーから降りた映司達は、第2アジトの近くに居た。

「シゲル君!」

すると向こうから、シゲルを呼ぶ声が聞こえてきた。

「あ、比奈さん!」

シゲルは比奈のところへ走っていく。

「比奈ちゃん!?」

知り合いの登場に驚く映司。

「え?どうして私の名前を?」

「?……あっ、もしかして歴史が変わったせいで、俺と比奈ちゃんは会ってないことに……」

「比奈さんは、このアジトで俺達の世話をしてくれてるんだ」

「私、光夏美と言います。よろしくお願いします」

「あっ、これはご丁寧に……」

呆ける映司をよそに、自己紹介をする夏美達。

「あっ!ショッカーの飛行船だ!」

比奈と一緒に出てきた子供の1人が、飛んできた飛行船を指差す。

『我々は遂に立ち上がった。全世界に派遣されたショッカーの、平和を乱す愚かな人間どもを根刮ぎ排除する―――』

「もうすぐ嵐がくる。頼んだぞ、幸太郎」

ショッカーの放送を聞いて、映司は今その場に居ない仲間に望みを託す。

「シゲル君、ミツル君達は?」

「あれ?一緒に降りたはずなんだけど……」

「士君もいません!」

「!まさか……」





――デンライナー車内――



「あーっ!さっきのガキどもだッ!」

モモタロスが、さっきまで子供達が座っていたソファーの方を見て叫ぶと、皆一斉に駆け寄る。すると、机の下からナオキとミツルが出てきた。

「俺達にも手伝わせてよ!」

「俺の父ちゃんはショッカーに拐われたんだ!父ちゃんを拐った憎いショッカーに復讐してやりたいんだ!」

ナオキ、ミツルの順に己の思いを口にする。

「お前ぇ……馬鹿言ってんじゃねぇ!」

そんな2人に怒鳴り散らすモモタロス。

「あーっ!手のお化けはっけーん!」

リュウタロスがソファーの後ろにあったものを掴み上げる。

『おいっコラ!離せ!』

「うわっ!」

リュウタロスに掴まれていた|右手だけの《・・・・・》アンクが、リュウタロスの手を振り払う。

「あっ!てめぇ!」

『俺はメダルの持ち主だ。メダルは返してもらおうか』

「もとはと言えばお前のせいやで!」

「そーだそーだ」

「言葉の裏には針千本。君には、何か他の目的があるんじゃない?」

ウラタロスが探るようにアンクに問いかける。

『無い。俺を信じろ』

アンクは何の迷いも無く言い切った。

「今さら信じられるか!」

そう言うと、モモタロスはアンクに飛びかかる。

『ふんっ』

「ぬぉっ!」

しかしアンクは余裕な様子でかわす。

「いてて……野郎ども、やっちまえ!」

モモタロスの言葉に他のメンバーも反応し、アンクを捕らえにかかる。

『ちっ』

このままではまずいと、一旦ドアの方へ飛んでいく。

「いけませんねぇ」

すると、ドアの向こうからオーナーが入ってきた。

「では、こうしましょう」

『なぁっ!』

オーナーが持ってきた鎖付きの手錠をアンクに付ける。

「モモタロス君が、アンク君のお目付け役となるのです」

オーナーはモモタロスに鎖を渡す。

『くっ!俺を犬扱いするつもりか!?」

「はい。君はまた、40年前に戻ってメダルを探すつもりだったんですよねぇ?」

『はっ、悪いか!』

「よ〜し、俺は犬は苦手だけどお前なら大丈夫なんだよ。よしお手だ!お手!」

『ふんっ』

「いでっ!……てめぇ、それがご主人様に対する態度か!?コラァ!」

アンクとモモタロスが取っ組み合いを始める。

「まったく、少しは静かにしろ。うるさいぞ」

「うるせぇ!……ん?」

そこにはまた1人、不正乗車犯がいた。

「あーっ!てめぇまだ乗ってたのか!」

さっきの声の主は士だった。

「俺も手伝ってやる。戦力は多い方が良いからな」

「余計なお世話だ!大体、特異点でもねぇお前がそんなこと出来る訳ねぇだろ!」

「お前こそ忘れたのか?電王の世界に行った時、一緒に過去に戻ってイマジンを倒しただろ」

「……あり?そうだっけ?」

そう。士はその時、自前のパスを使って過去に飛びイマジンを倒したのである。

「だが今回はメダルの回収だ。我々だけでも十分だと思うのだが……」

「さて、どうかな」

「?」

テディの言葉に対し、意味深な返事をする士。

(もしアイツが動くなら、それだけでは済まないかもしれないしな……)

「それでは、最初に行った40年前の更に1分前に、レッツラゴー」

オーナーの指示で、デンライナーは再び40年前を目指して走り出した。






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