10×40

□敵か味方か
2ページ/4ページ

「お兄ちゃん早く!」

ナオキに手を引かれ、ミツルと共に走り続ける映司は今、一本道に出ていた。

「ここまで来れば、大丈夫かな?」

少しスピードを落としながら息を整える3人。
しかし、その見通しは甘かった。

「そこの3人、止まれ」

前方には、ショッカーの怪人と戦闘員が待ち構えていた。そして、その中には……

「シゲル!」

「このガキの命が欲しくば、大人しく投降しろ」
逃走の途中で捕まったシゲルが居た。

「ミツル……助けて……」

弱々しい声で助けを求めるシゲル。

「…………」

ミツルは無言のまま、シゲルとショッカー達を見る。

「……いくぞ」

小さな声でそう言うと、そのまま後ろへ振り返る。

「助けないの!?」

その場を離れようとするミツルの腕を掴み、引き留める映司。

「ショッカーに歯向かっても、どうせ勝てない」

「でも仲間なんだろ!?」

「……捕まる奴が悪い。弱い奴は……見捨てるしかないんだ」

シゲルの方を再度見ながらそう呟いたミツル。その手は、血が出るのではないかという程強く握られていた。

「ミツル……」

「俺達はそうやって生き残ってきた!そうだろ!?」

「それは……」

ミツルの言葉に、何も言い返せないナオキ。

「あんな悪い奴らの言いなりになってて良いの!?」

「いい分けないさッ!」

映司の腕を振り払って反論するミツル。

「だから……いつか、あいつらよりも悪くなって、強くなって……復讐してやるよ」

その言葉には、強い憎しみと怒りが込められていた。

「ミツル君、そんなの間違ってるよ!」

今度は両肩を掴み、ミツルに言い聞かせる映司。

「早くしろ!」

痺れを切らしたのか、大声を上げる怪人達。
それを見て、怪人達の前に立ちはだかる映司。

「?何のつもりだ?」

「……俺は行く。2人は早く逃げるんだ」

そう言うと、映司はベルトを腰に装着し、赤、黄、緑の3色のメダルをベルトに差し込む。

「お兄ちゃん?」

そして、右腰に着いているオースキャナーを取り、ベルトに差し込んだメダルをスキャンした。

「変身ッ!」

『タカ!トラ!バッタ!―――タ・ト・バ タトバ タ・ト・バ』

歌と共に光に包まれ、映司はその姿を変えた。

「お兄ちゃん、もしかして……」

ナオキの言葉に、映司は振り向きながら答える。

「俺はオーズ。仮面ライダー|OOO《オーズ》だ」

そう言うと、映司――仮面ライダーオーズ――は怪人達に向かって走り出した。



「……どういうこと?仮面ライダーって、ショッカーの怪人の中で一番強い奴のことじゃないの?」

ナオキとミツルは驚愕の表情を浮かべながら、オーズの後ろ姿を見ていた。





「はぁっ!」

オーズは怪人達の攻撃を避けながら、パンチやキックを繰り出す。

「ていやぁっ!」

「イーッ!」

そして、シゲルを捕まえていた戦闘員を蹴り飛ばす。

「早く逃げるんだ!」

「うん!」

オーズの声を聞くと、シゲルはナオキ達の方へ走って行く。

「シゲル!」

「よし、行くぞ!」

3人は一緒になって走りだす。しかしその時―――

ブルルルルルォォォン!
ブルルルルルォォォン!

3人の前方から、2つのバイクのエンジン音が聞こえてきた。

「あれは……」

「まずい、こっちだ!」

ナオキ達は横にあった建物の裏に隠れた。

ブルルルルルォォォン!
キキィィィッ!

バイクが怪人達の前で止まる。乗っていた人物は、白い仮面《マスク》に赤い瞳、黒い体に緑のボディ、そして赤いマフラーを棚引かせ、その姿はバッタを彷彿とさせるものだった。

「仮面ライダー、1号、2号……」

誰かがそう呟いた。

「仮面ライダー?じゃあ味方なのか?」

白い手袋とブーツを着けた1号と、同じく赤いそれを着けた2号は、無言のままオーズに近づいていく。
そして―――

「はあぁっ!」

「ぐぁっ!」

オーズに向かって攻撃を始めた。

「どうなっているんだ!?―――ぐはぁっ!」

1号、2号の攻撃をまともにくらうオーズ。

「このライダー達は、敵なのか!?うわっ!」

そこに怪人達も加わり、形勢は一気に逆転された。止まない攻撃の嵐に、オーズは為す術も無くやられていく。



「……ほらみろ。やっぱり悪の1号、2号のほうが強いんだ」

物影に隠れながらミツルは呟く。

「でも、オーズはシゲルを助けてくれたよ。オーズは味方なんだよ!」

「俺もそう思う」

ナオキの言葉に、シゲルも同意する。

「……だったらどうするんだよ。俺達じゃ、足手まといだぞ」

「それは……」

そう言いながら、3人は再びオーズの方へ視線を向ける。



「こうなったら……」

オーズはコンボチェンジしようと、メダルを取り出す。しかし―――

「させるかぁっ!ふんっ!」

「うわっ!」

怪人の攻撃によって、手に持っていたメダルが弾かれた。

「め、メダルが―――ぐはぁ!」

メダルに気を取られていたオーズに2号のパンチが決まり、そのまま吹き飛ばされる。

「あっ!オーズが!」

その光景を見て、思わず声が出るシゲル。

「……」

何か決意を込めた目でナオキがオーズの居る方へ走り出す。

「あ、おい!ナオキ!」

そして、近くに落ちていたメダルを拾い集める。

「オーズ!メダルだよ!」

ナオキはオーズに向かってメダルを投げる。オーズは身体に鞭を打ちながら立ち上がり、メダルを受け取る。

「あ、ありがとう!」

そう言うと、受け取ったメダルをベルトに差し換え、オースキャナーでスキャンした。

『ライオン!トラ!チーター!―――ラタ ラタ ラトラーター!』

メダルの力により、オーズはラトラーターコンボへとコンボチェンジした。

「うおぉぉぉぉぉっ!」

固有技"ライオディアス"により、怪人達は光に視界を奪われる。

「うわっ!くそっ!」

慌てて目を覆い隠す怪人達。

「今の内に―――」

オーズはナオキ達のところへ向かう。

「皆逃げるよ!捕まって!」

「う、うん!」

そう言うと、オーズは3を抱き抱えた。

「うおぉぉぉぉぉ!」

そしてチーターレッグの俊足を使い、オーズ達はその場を離れていった。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ