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□変わる運命
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――現代――
「|Amigo《アミーゴ》?そんな……ここは|Cous Coussier《クスクシエ》だったはず……」
一度帰路に着いた映司とアンクの二人。しかし、そこにあったのは|Cous Coussier《クスクシエ》ではなく、|Amigo《アミーゴ》と看板に書かれている廃墟だった。
「……」
アンクは遠慮せずにずかずかと中へ入って行ってしまった。
「あっ、ちょっと待てよアンク!」
映司は慌ててその後を追う。
ギイィッという音を鳴らしながら扉を開け、中に入っていく二人。そこには、散乱した机と瓦礫の山で埋め尽くされていた。
「比奈ちゃーん、知世子さーん。居ませんかー?」
映司が呼び掛けるが、二人の声は返ってこない。
「一体何がどうなってるんだ……」
思わず言葉が洩れる映司。
「!」
突然、アンクが瓦礫の奥の方へ振り向く。
「どうしたんだ?アンク」
「そこに誰か居る」
「え!?」
すると、瓦礫の奥から一人の子供が出てきた。
「お兄さん達、誰?」
そして奥からずらずらと、一人、また一人と子供が出てきた。
「君達、こんなところでどうしたの!?学校は!?」
「学校?あんなショッカーみたいな悪い奴らが作ったところ、行けるわけないよ!」
映司の言葉に大声で反論する子供たち。
「ショッ、カー?」
「そうさ、ショッカーに選ばれたエリートだけが学校に行くんだ。ショッカーの戦闘員になる為に。40年前に日本が支配されてから、ずっと……」
子供たちからの言葉に唖然とする映司。
「どういうことだ?40年前……俺達が時間旅行から帰ってくるとき、別の世界に来てしまったとでもいうのか?」
「……お兄さん達何なの?こんなこと誰でも知ってる―――」
《ビーッビーッビーッ》
子供たちの内の一人が映司達に尋ねようとしたとき、突然何処からか機械音が聞こえてきた。
《これより、国連でショッカーの決定が放送される。愚かな人間どもよ、テレビの前に集合しろ。繰り返す―――》
「国連がショッカーの決定を?この世界どうなっているんだ?」
「シゲル」
「うん」
子供たちは灯りを持ち、家の奥へ歩いて行く。
「ミツル、この人達にも見せてあげたら?」
「……」
ミツルと呼ばれた少年は少し考える。
「……来いよ」
ミツルは映司達に向かって言う。どうやら連れて行くことにしたようだ。
そして一同はテレビの前に並び、電源を入れた。
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