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□プロローグ
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プロローグ



「あ〜、こりゃ駄目だ。一度ばらして修理しないと」

そう呟いたのは、光写真館を営んでいる"光栄次郎"だ。

「ああ、直るんならそれでいい。修理の間、代わりになるカメラを貸してくれ」

返答したのは居候の"門矢士"。どうやら、彼のカメラが壊れてしまったらしい。

「別にいいけど……レンタル代も含めて、きちんと払ってくれないと困るからね」

「わかったわかった」

「じゃあ……はい、これ代わりのカメラ。僕は修理してくるから」

そう言って、栄次郎は士にポラロイドカメラを渡し、奥の部屋へ入っていく。

「さて、暫くはこれで我慢するか」

「我慢するか、じゃないですよ!いい加減溜まった付けを払って下さい!」

士に怒鳴っているのは"光夏美"。栄次郎の孫で、この写真館で祖父と一緒に働いている。

「わかってるって」

「もう!士君のわかったは当てにならないんですから。はぁ〜、ユウスケも里帰りしちゃいましたし」

ユウスケとはこの写真館のもう一人の居候である。しかし、今回は登場しないので割愛する。

「お陰で口うるさいのが居ないから、最近は静かでいいな」

「もう!そんなこと言っては駄目ですよ!」

「その通りだぞ、家臣その6。私の世話をする者が一人減ってしまったのだからな」

「誰が家臣だ、誰が……ん?」

光写真館で暮らしているのは4人。では、今の声の正体は何なのか。ふと士が振り返ると―――

「降臨。満を辞して」

白い鳥が立っていた。

「貴方はジーク!?」

「おい、鳥!何でお前が居るんだ!」

二人は以前面識があるが、余り良い思い出がないため、とても嫌そうな顔をしている。

「家臣の為にこの私自ら出向いたのだ。茶の一つくらい出せんのか、家臣その6」

「お前なぁ〜ッ!」

「落ち着いて下さい、士君!それで……士君の為って、どういうことですか?」

夏美が質問をすると、ジークは近くの椅子に腰かけ話し始めた。

「届け物だ。ほれ、これはお前の物だろう」

そう言って、懐からあるものを取り出す。

「これは……士君のカード?」

それは、絵柄の描かれていないカードだった。

「そうみたいだな。おい!このカード、どこで拾ったんだ?」

「ん?そうだな、あれは確か……」

士の質問に対し、ジークは回想に入る。

「1〜6ヶ月前の晴れか曇りか雨の日だったなぁ」

「……つまり覚えて無いんですね」

「使えない鳥だ」

これ以上の質問は無意味だと士は思い、渡されたカードを眺める。

「そのカード、これから何が起こるのでしょうか?」

「さあな。わかっているのは、また新しい旅が始まるってことだけだ」

そう言うと、士はカードをしまう。

「今日は栄次郎は居ないのか?また私の美しい姿を写真に収めて貰おうと思ったのだが……」

ジークはそう言いながら部屋を徘徊する。

「ああ、そんなに歩き回ると―――」

「ぬおっ!」

ジークの足が背景幕の紐に引っ掛かり、そのまま倒れる。
そして、背景絵が次の旅路を示すべく現れる。

「士君、これは……」

そこに映るのは、28人の戦士がズラリと並んだ姿だった。

「これは……"仮面ライダーの世界"」

今再び、士――仮面ライダーディケイド――の新たな物語が始まる。





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