短編小説

□僕の周りは非常識
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「はあ〜、やっぱりこの季節は過ごしやすくていいな〜」

登校中、それは僕が最も癒される時間。学校に行っても家に居ても疲れるって……僕は一体どうすれば(泣)

「あっ、明久君。おはようございます」

「ん?ああ、姫路さん。おはよう」

後ろから声を掛けてきたのは『姫路瑞希』。ピンクのふわふわした髪と、低い身長に不釣り合いの"きょうい"的な破壊力が特徴だ。本来はAクラス並の実力を持っているけど、クラス分け試験当日に熱を出してしまいFクラスになってしまった人でもある。あっ、AクラスとかFクラスとかは原作を参照してね。

「姫路さん、何だか眠そうだね。どうしたの?」

「はい。実は恥ずかしながら、時間を忘れてゲームをしていまして……」

そう。意外なことに、姫路さんの趣味はゲームなのである。僕もよく夜更かししてゲームをすることがあるので、その気持ちはよくわかる。

「かれんちゃんやかほちゃんが可愛くて昨日も何度も生死の境をさまよいました。昨日なんか久しぶりにデートに行ったんですよ。あまりにハイテンションになってそのまま鬼畜ルートに入りそうに―――」

「ごめん。やっぱり僕じゃ、姫路さんの気持ちは分からない」

嗜んでいるのは世間一般でいう所謂ギャルゲーエロゲーと呼ばれているものなんだけど、僕はアクションゲームやRPGしかやらないから全然分からない。先日"妹は最強の属性だ、エロい人には分からないのです"と鼻から愛を流して熱弁していたのが印象的だ。先程の名前の上がった二人も恐らく妹キャラだろう。

「ひ、姫路さんって、本当に妹が好きなんだね」

僕は、顔を引きつかせながらも何とか話を続ける。

「大好―――愛してます」

「あれ?何か僕のセリフを盗られた気が……」

そんな訳で、姫路さんは自分の睡眠時間を度々削ってゲームをしている。クラス分け試験の日に欠席したのも、前日に遅くまでゲームをしていたのが原因らしい。ピンク髪は伊達じゃない!

「……でも、本当に好きなのは……キャッ」モジモジ

「?」

姫路さんがモジモジし出した。まあ、人の趣味嗜好に口を出す気はないけど、見た目姫路さんの妹にしか見えない母親と結婚したあの父親の血を引いているのだ。まさに"あの父にしてこの娘あり "と言ったところだろう。

「あっ、そういえば私、先生に呼ばれているんでした。これで失礼しますね」

「うん。分かった」

ここで一旦姫路さんと別れ、一人で教室へ向かう。






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