10×40

□エピローグ
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《再びライダーが揃って戦う日まで、全ては君たちの力にかかっている》

《頑張るんだ、仮面ライダー!私達は、ずっと見守っているぞ!》





映司達は、先程までライダー達が居た方をじっと眺めていた。

「ライダー!」

「「「仮面ライダー!」」」

後ろを振り向くと、ミツルや子供達が走って来ていた。

「よし、これで一件落着だな!ハッハッハッ―――」

モモタロスが映司の背中を叩きながら喋り出す。

「―――ん?何か忘れているような……」

「……!ナオキだ!」

幸太郎の言葉に、一同は慌てだす。

「もう一度40年前に戻って、ナオキ君を連れ戻さねば」



「その必要はないよ、テディ」



すると、向こうから白衣を着た眼鏡の男性が歩いてきた。

「え?どうして私の名前を―――」

「…………父さん?」

テディの言葉に被さるようにミツルは声を絞り出した。

「…………ミツル!」

その男性も、それに答えるようにミツルの名前を呼ぶ。

「……父さん、父さん!」

ミツルは男性に駆け寄って、今まで会えなかった寂しさを埋めるように抱きしめ合う。
ミツルを抱きしめる男性の手の甲には、一筋の古傷があった。

「その傷……あんたまさか!」

男性の傷は、ナオキがノッコを庇って受けたそれに酷似していた。

「そう。ナオキだよ」

「え!?」

その男性――ナオキ――の言葉に、一同は唖然とする。

「ちょっと待てよ。過去に飛んだナオキの息子が、ミツルだってのか!?」

「ああ。驚かせてすまない」

モモタロスの言葉を肯定するナオキ。

「……父さんが、あのナオキなの?」

「うん」

そしてナオキが語り出した。

「ミツルも、皆も聞いてくれ。僕は40年前に残ったことで辛い目にもあったけど、ノッコと結ばれ、ミツルを授かり、ショッカーの科学者として1号と2号の洗脳を解き、それも全てかけがえのない時間となった」

そしてナオキは一息置いて続ける。

「だから僕は、このままでいい」

ナオキは力を込めた目でそう言った。

「ナオキもまた、ライダーの歴史の一部になった、という訳か」

「彼もまた仮面ライダーを信じる者。うん、素晴らしいお宝だ」

「……あっ!そういえば!士君今まで何処に居たんですか!?こっちは大変だったんですよ!」

士達がワイワイ騒ぎだす。

「まあ、僕は目的の物は手に入ったし、何でも構わないけどね」

「お前、いつの間に……」

「あっ!おい、そいつを寄越せ!」

海東が取り出したメダルを見て、呆れる士と未だに文句を言うアンク。
すると、2枚のメダルは光の粒となって消えてしまった。

「僕のお宝が!」

「おそらく、役目を終えて消えたんだろ」

「ちっ!散々苦労して結局無駄働きだったか」

「元はといえばお前が原因だろ!」

「あぁん?」

「やんのかコラァ!」

言い争うアンクとモモタロスをよそに話を続ける。

「僕は仮面ライダーを信じてきて良かった。そして、そのバトンは君たちに渡された。今度は、君たちの手でバトンを渡して欲しい。次の世代へ」

「重そうなバトンだけどね」

「まあ俺は、新たな旅で新たなライダー達に伝えるさ」

「俺もとりあえず、今を一生懸命戦います」

「それでいい」

ナオキは満足そうにうなずいた。



ファァァァァン!



すると、空にデンライナーの汽笛が鳴り響く。

「出発の時間だ。俺達の時間はもう始まってる」

「また会えるといいな、俺達」

「会えるさ。新しい旅路で」

そう言うと士は、手の平を下にして前に出す。

「未来で」

幸太郎もそれに見習い、自分の手を士の手の上に乗せる。

「……俺達の新しい明日で!」

映司も自らの想いを込めて、2人に手を合わせた。



「…………ほらよ」

その雰囲気に感化されたのか、アンクに手を差し伸べる。

「……」

しかしアンクは、我関せずといった感じでそっぽを向く。

「てめえ〜〜、最初から最後までクライマックスで嫌な野郎だな!」

「落ち着けモモタロス!」

「離せ!テンドンッ!」



ファァァァァン!



その喧騒は、デンライナーが来るまで続いた。







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