10×40

□カルテット・心の声を聞け
1ページ/4ページ

都内の広場は今、たくさんの人で溢れかえっていた。人々が見ているのは十字架に張り付けられている幸太郎、映司、アンク、そしてそれを囲むように立っているショッカーの幹部と怪人達だ。

『なんだ?』

『何事だ?』

観衆はざわつきながら、その様子を見ていた。

「ぐっ!ぬっ!」

映司達は必死で抜け出そうとしているが、両手足が頑丈に固定されている為外れない。

「……幸太郎、……テンドンのことだけどよぉ……」

モモタロスが言いにくそうに、幸太郎に真実を伝えようと口を開く。

「…………わかってる」

「え?」

「……何があろうと、俺とあいつの絆は切れない。今までも……これからもずっと……」

「幸太郎……」

そして時が来たのか、ジェネラルシャドウが口を開く。

「愚かな人間どもよ、よく聞け!貴様らが最後の希望と称する仮面ライダーは、これにて完全に消滅するッ!」

『なんだって!?』

『どういうことだ!』

『止めろ!』

ジェネラルシャドウの言葉に、観衆が一斉に騒ぎ出した。
その時その後ろでは、白いシャツに赤いネクタイを着た子供達が集まっていた。

(……やるぞ)

(((応っ)))

手を合わせた子供達はそれぞれ四方に散らばった。





「構えよ!」

「「「「「「イーッ!」」」」」

合図と共に、戦闘員達が映司達に銃口を向ける。

「……」

広場の物陰には、ベルトを持った子供が様子を伺っていた。

「……現れたな、ネズミが。"トランプショット"!」

それを察知したジェネラルシャドウは、子供が隠れている物陰に攻撃した。

「うわぁっ!」

辺りに火花が散り、子供は思わず転んでベルトを離す。
するとすかさず、観衆の中からまた1人子供が出てきてベルトを拾う。

「あの子は!?」

「俺達は、少年仮面ライダー隊だッ!」

『なんだ!?』

『少年仮面ライダー隊だって!?』

子供が声を大きくして名乗りあげると、また辺りがざわつき始める。

「捕らえよ!」

「「「イーッ!」」」

ジェネラルシャドウの合図で、戦闘員がその子供に襲い掛かる。

「このっ!」

「イィーッ!」

「くそっ!シゲル!」

戦闘員に捕まってしまった子供は、観衆の居る方へベルトを投げる。

「任せろ!」

人混みの中からまた1人子供が出てきて、ベルトを受け取り、再び人混みの中に消える。

「イーッ!」

戦闘員もその後を追って人混みに入る。

『ベルトよ!』

『仮面ライダーのベルトだ!』

やがて、1人の子供がまた人混みから出てくる。

「ミツル君!?」

ミツルは戦闘員をかわし、映司まであと数メートルというところまで来た。
しかし―――

「ショーッカー!」

「!?」

空より飛翔してきたショッカーグリードに行く手を阻まれる。

「くそっ!うわっ!」

「捕まえたぞ」

「は、離せ!」

ショッカーグリードによって捕らえられてしまったミツル。必死に振り払うがびくともしない。

「フッフッフッ、これで終わりだな」

不敵に笑うショッカーグリード。

「待てぃ!」

「!?」

しかし、その言葉は叫び声によって掻き消された。

「「とうっ!」」

掛け声と共に跳んで現れたのは、洗脳されてショッカーの怪人と化している1号、2号だった。

「1号、2号……」

「ここは俺達に任せろ」

「では見せて貰おう。ショッカー最強の怪人が、如何にしてそのガキを始末するのかを」

ジェネラルシャドウの笑い声が辺りに響く。

「仮面ライダーッ!」

そんな中、ミツルが1号と2号に向かって叫ぶ。

「ナオキからのメッセージを聞いて!」

「「……」」

1号、2号は無言のままミツルを見つめる。

「"僕達が、未来に伝えたい想いはただ1つ"!」

ミツルは息を荒くしながら続ける。

「"仮面ライダーは、正義の味方"!」

感極まって涙が流れ始めるミツル。

「俺もそう信じてるよ!"仮面ライダー"ッ!」

「「……」」

ミツルの言葉を、最後まで無言で聞き続けた1号と2号。

「馬鹿め。どんな悪でも勝てば正義だ!オーズと電王を処刑し、ショッカーが正義となるのだ!」

ショッカーグリードが声高らかに宣言する。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ