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□カルテット・心の声を聞け
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都内の広場は今、たくさんの人で溢れかえっていた。人々が見ているのは十字架に張り付けられている幸太郎、映司、アンク、そしてそれを囲むように立っているショッカーの幹部と怪人達だ。
『なんだ?』
『何事だ?』
観衆はざわつきながら、その様子を見ていた。
「ぐっ!ぬっ!」
映司達は必死で抜け出そうとしているが、両手足が頑丈に固定されている為外れない。
「……幸太郎、……テンドンのことだけどよぉ……」
モモタロスが言いにくそうに、幸太郎に真実を伝えようと口を開く。
「…………わかってる」
「え?」
「……何があろうと、俺とあいつの絆は切れない。今までも……これからもずっと……」
「幸太郎……」
そして時が来たのか、ジェネラルシャドウが口を開く。
「愚かな人間どもよ、よく聞け!貴様らが最後の希望と称する仮面ライダーは、これにて完全に消滅するッ!」
『なんだって!?』
『どういうことだ!』
『止めろ!』
ジェネラルシャドウの言葉に、観衆が一斉に騒ぎ出した。
その時その後ろでは、白いシャツに赤いネクタイを着た子供達が集まっていた。
(……やるぞ)
(((応っ)))
手を合わせた子供達はそれぞれ四方に散らばった。
「構えよ!」
「「「「「「イーッ!」」」」」
合図と共に、戦闘員達が映司達に銃口を向ける。
「……」
広場の物陰には、ベルトを持った子供が様子を伺っていた。
「……現れたな、ネズミが。"トランプショット"!」
それを察知したジェネラルシャドウは、子供が隠れている物陰に攻撃した。
「うわぁっ!」
辺りに火花が散り、子供は思わず転んでベルトを離す。
するとすかさず、観衆の中からまた1人子供が出てきてベルトを拾う。
「あの子は!?」
「俺達は、少年仮面ライダー隊だッ!」
『なんだ!?』
『少年仮面ライダー隊だって!?』
子供が声を大きくして名乗りあげると、また辺りがざわつき始める。
「捕らえよ!」
「「「イーッ!」」」
ジェネラルシャドウの合図で、戦闘員がその子供に襲い掛かる。
「このっ!」
「イィーッ!」
「くそっ!シゲル!」
戦闘員に捕まってしまった子供は、観衆の居る方へベルトを投げる。
「任せろ!」
人混みの中からまた1人子供が出てきて、ベルトを受け取り、再び人混みの中に消える。
「イーッ!」
戦闘員もその後を追って人混みに入る。
『ベルトよ!』
『仮面ライダーのベルトだ!』
やがて、1人の子供がまた人混みから出てくる。
「ミツル君!?」
ミツルは戦闘員をかわし、映司まであと数メートルというところまで来た。
しかし―――
「ショーッカー!」
「!?」
空より飛翔してきたショッカーグリードに行く手を阻まれる。
「くそっ!うわっ!」
「捕まえたぞ」
「は、離せ!」
ショッカーグリードによって捕らえられてしまったミツル。必死に振り払うがびくともしない。
「フッフッフッ、これで終わりだな」
不敵に笑うショッカーグリード。
「待てぃ!」
「!?」
しかし、その言葉は叫び声によって掻き消された。
「「とうっ!」」
掛け声と共に跳んで現れたのは、洗脳されてショッカーの怪人と化している1号、2号だった。
「1号、2号……」
「ここは俺達に任せろ」
「では見せて貰おう。ショッカー最強の怪人が、如何にしてそのガキを始末するのかを」
ジェネラルシャドウの笑い声が辺りに響く。
「仮面ライダーッ!」
そんな中、ミツルが1号と2号に向かって叫ぶ。
「ナオキからのメッセージを聞いて!」
「「……」」
1号、2号は無言のままミツルを見つめる。
「"僕達が、未来に伝えたい想いはただ1つ"!」
ミツルは息を荒くしながら続ける。
「"仮面ライダーは、正義の味方"!」
感極まって涙が流れ始めるミツル。
「俺もそう信じてるよ!"仮面ライダー"ッ!」
「「……」」
ミツルの言葉を、最後まで無言で聞き続けた1号と2号。
「馬鹿め。どんな悪でも勝てば正義だ!オーズと電王を処刑し、ショッカーが正義となるのだ!」
ショッカーグリードが声高らかに宣言する。
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