10×40

□EPISODE.1 変身
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「くそっ!あの鳥、後で覚えてろ!」

「でも、ここは一体何処なんでしょう?」

士と夏美は街の外れにあるアリーナの近くを歩いていた。
何故そんな所に居るかというと、それは数分前に遡る。


――
――――
――――――

『おい、家臣その6。さっさと茶を用意しろ』

『誰がやるかっ!』

『士君落ち着いて下さ―――え?地震!?』

『何だ!?この揺れは何事か!?』

『おい、落ち着け!』

『ジーク、そんなに暴れると危ないですよ!』

『うるさい!家臣その6!さっさと揺れを収めてこい!』

『ちょっ、押すな―――うわっ!』

『士君!?きゃっ!』

――――――
――――
――


そうして家から追い出され、気付いたら此処に居たというわけである。

「それにしても士君。今回は服が変わりませんでしたね」

行く先々で服装がコロコロ変わる士だが、今日は何時もの私服である。

「ああ。まあ、当然といえば当然だな」

「え?それはどういう―――」

『キシャーッ!』

「「!」」

ことですか?と言い切る前に、明らかに人間の物ではない声に遮られた。

「今のは……」

「士君!あっちです!」

夏美が声のした方を指し、二人でそこへ向かう。

「あれは一体……」

そこでは、カマキリを擬人化したような怪人と、黒を基調とした赤黄緑の上下3色の戦士が戦っていた。

「あいつは、"仮面ライダー|OOO《オーズ》"」

「オーズ?」

「ああ。欲望の結晶"コアメダル"を駆使して戦うライダー。3枚のメダルを組み合わせることで、ありとあらゆる状況に対応することが出来る」

士はポラロイドカメラで写真を撮りながら説明口調で話す。

「オーズ……つまり、ここはオーズの世界なんですね?」

「いや、違う」

「?どういうことですか?」

夏美の疑問に、士は出てきた写真を眺めながら答える。

「ここは仮面ライダーの世界。あらゆるライダーの物語が重なり合う場所だ。ほら、見てみろ」

「え?……あっ、士君の写真が!」

渡された写真には、今戦っているオーズの姿が|ピンぼけせずに《・・・・・・・》写っていた。

「ここは俺の世界とも重なっている。だから写真もちゃんと写る」

『トリプル スキャニングチャージ』

『セイヤーッ!』

「おっと、向こうも終わったみたいだ」

再びオーズに視線を戻すと、先ほどのカマキリ怪人――ヤミー――を倒していた。

「さて……とりあえず会ってみるか」

「そうですね」

二人はオーズに向かって歩きだそうとした。すると……

「おいお前ら、何をやっている」

金髪に白いシャツ、赤いジャケットを羽織った男に呼び止められた。

「あっ。あの、私達は―――」

「お前……グリードか」

「!」

士の言葉を聞いた途端、男の目が見開いた。

「グリード?」

「ああ。数枚のコアメダルと無数のセルメダルでできている怪人だ。どうやらオーズとは協力関係にあるようだか……」

そこまで言うと、男は威嚇するような眼で士を睨む。

「貴様……一体何者―――」

『ぐぁっ!』

「「「!」」」

オーズの声に振り返ると、オーズは先ほどのヤミーとはまた別の、3体のモグラの怪人に襲われていた。

「何やってんだ、映司!」

『アンク!何かこいつら変なんだ!メダルを出さない!』

「なんだと?」

アンクと呼ばれた男と映司――仮面ライダーオーズ――には、見覚えの無い怪人のようだ。しかし士と夏美は、それをよく知っていた。

「あれはイマジン?まだ居たのか」

「士君!」

「ああ」

士はベルトを腰に装着し、ライドブッカーからカードを取り出す。

「変身!」

『kamen rider Decade』

カードをベルトに入れると、電子音と共に士は仮面ライダーディケイドへ変身する。

「お前、一体……」

アンクの呟きに答えることもなく、ディケイドはオーズのところへ向かう。






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