三國無双
□雷光
1ページ/1ページ
変換なし
「あ、雨だよ」
「下らん。雨が降ろうが降らまいが戦には変わりない」
戦中に降り出した雨の中、馬を駆けて行く私と殿。殿は何事もないように、雨をものともせず駆けて行く。
戦、戦死した人の血が雨で洗い流される。
戦、生き残る人を涙が雨で洗い流される。
「…雨は何を洗い流してるんだろう」
「フン、貴様も変わった事を考える。今は戦に勝つ事だけを考えろ」
「…」
戦は人の心を消す。雨は人の心を洗い流す。
「戦は、何の為に…」
青い旗が立ち上がる。殿は雨の中、屍の中心で高らかと剣を上げた。
「…殿は、戦を」
「貴様の様な凡脳では分からない事だ、馬鹿めが。」
「司馬懿殿」
「戦は三国の世を一つにし、新しい世代を作る。その為に幾ら犠牲が出ようと仕方ないものだ」
「仲達、次の戦の用意をする。父は何処だ」
「は。御意」
「殿、次は」
「袁紹だ。」
「雨、まだ降ってますね」
「下らん。私にはまだするべき事がある、全て終わったら貴様の話を聞こう」
次の戦で殿は奥方、甄姫殿に見惚れた。
貴方に対する私の気持ちも
雨で綺麗に流れ流された。