ゥサギの涙。
□孤独と絶望 生きる意味。
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彼女が亡くなって月命日に
あたしはひとり花屋で悩んでいた。
あたしが選んだピンク色の花は仏花とは到底言えない華やかな花だった。
綺麗にラッピングをしてもらい、大事に抱えてウサギの家に向う。
移動中もウサギのことを考えていた。
あの時こうしていればなんて、後でしか思えないんだ。
後悔ってそういうものなんだ。
一ヶ月なんてあっというまで、ウサギが死んだなんて未だに実感がなくて、なんかこんなのドラマや漫画みたいじゃないって思ったんだ。
だってクリスマスの日に会って
明けましておめでとうって言った次の日にはもう居ないんだよ。
おかしいよ。
この世界も、神様もどこかおかしい。
きっと今頃、神様だってウサギに羽ばたける様に翼を付けたこと後悔してるんだ。
ウサギのお家について
お花を渡した。
やっぱりピンクが悔しいくらい似合うんだね。
遺影のあんたは笑ってた。
あたしは駄目元で遺品を貰えるかお願いをしてみた。
既に何点か頂いてるけど
あたしはどうしても
携帯についていたプーさんの三連ストラップが欲しかった。
欲を言えば、あの日着ていたピンクのコートが欲しかった。
だって、まだ温もりが有るはずだから‥。
ウサギは写真があまり好きじ
ゃないみたいで、遺影もプリクラを拡大したものだと聞いた。
そういえばHPに載せてる画像も口元にはスタンプがしてあったな。
その大きな前歯が可愛かったのにね。
お母様はダンボールから、生前ウサギが使っていた携帯電話を取り出してくれた。
アタシはちりんちりん鳴るプーさんのストラップを取る。
お母様は呟いた。
『暗証番号が分からないから、携帯はそのままなんです』
そしてもう一言
『リタリンの空瓶も、財布も無いんです‥』
あたしには何がなんだか分からなかった。