短編
□報われない……
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ニャー、ニャー。
「ん? あ〜!! 猫ちゃあ〜ん♡ どうしたの? 可愛いねぇ♡」
私、名無しは猫が大好きである。
私の猫好きは、友達に変態呼ばわりされる程だ。
私は、猫ちゃんと遊ぼうと、バッグを漁る。
「ふふ〜ん。……My猫じゃらし〜! よ〜し、これで遊んであげ……えっ!? ちょっと、どこ行くの? 待ってよ〜!!」
猫ちゃんは、My猫じゃらしを出したとたんどこかへ行ってしまった。
猫ちゃんについて行ってみるとそこには、子猫丸君がいた。
「もう〜やめてくださいよ〜。くすぐったいです〜。」
探していた猫ちゃんは、子猫丸君によくなついているみたいで、子猫丸君のほっぺを舐めている。
「子猫丸君!! どうしてここに?」
「あっ! 名無しさん! こ、こんにちは〜。たまたま通りかかったら可愛い猫がいてはって、つい……。」
「そうだったんだ。……ん? 子猫丸君って猫好きなの?」
「えっ? あ、そうなんですよ〜。僕、本当に猫が好きで……。見てて癒されるというか……。」
私と一緒だー!!!!! 子猫丸君とは気が合いそう!
「もしかして、名無しさんも猫、好きなんですか?」
「もちろんっ!! だ〜〜〜………………っい好きだよっっ!!!」
「そ、そうなんですね。あっ! もうすぐ授業始まるんで僕行きます!!」
「あっ、ちょっと待って……授業開始まであと30分もある……。」
あ〜。行っちゃった。もう少し猫について語りたかったんだけどなぁ……。
てか、あの猫ちゃんどこ行った?!! 探さないと〜〜!!
「何、ニヤニヤしてはるん? 子猫さん?」
「うわわっ!!! し、志摩さん、な、何を言い出すんですか! び、ビックリするやないですか……。」
「子猫丸がニヤニヤするなんて珍しいやないか。」
「ぼ、坊まで……。僕はニヤニヤなんてしてはりません!!」
再び猫を探していると、志摩君と坊を見つけた。
「なぁ、志摩、"アイツ"絶対"アレ"やな。」
"あいつ"……? "あれ"……? 何の話してるんだろ??
「せやなぁ。子猫さん。絶対、恋してはるなぁ。うらやましいわ……。」
え?! 子猫丸君が、恋……?
「ねぇ! 子猫丸君、誰に恋してるの?」
そう言って私は、志摩君の背中に飛びついた。
「名無しさん……いきなり来たら僕、心臓止まりますよ……♡」
「阿保。……誰に恋してるんかは分からんのやけど……祓魔塾にいる事は間違いなしや!」
「ん? 何でそう言い切れるの??」
「俺のカンや!」
……え? カンなの?
でも、子猫丸君、一体誰に恋してるんだろ……?
そんな事を考えながら私は志摩君達と別れた。
あっ、もうすぐで授業が始まる時間だっ! 急いで教室に戻らないと!
私は猫ちゃん探しを諦めて教室に戻ろうと廊下を走っていた。
すると、前から子猫丸君がやって来た。
「どうしたの? 子猫丸君。」
「あっ! 名無しさん! あ、あの……放課後、空いてますか……?」
「えっ? 放課後? 空いてるけど……。」
っ!! こ、これは……子猫丸君の好きな人を聞けるチャンスっ……!!
「そ、そうですか。はぁ……良かった……。そ、それじゃあ放課後屋上で待ってます!」
「うんっ!! いいよっ! じゃあ、放課後、屋上でね!」
そう言って私達は自分の教室に戻った。
――放課後――
ガチャ
私が屋上に着くと、子猫丸君の姿が見えた。
待たせちゃったかな?
「! ##NAME1##さん! 来てくれはったんですね!」
「うん。ちょっと遅れちゃったみたいだけど……。子猫丸君が言ったからね。何があっても絶対行くよ!」
「え……!(僕のことをそこまで思ってくれていただなんて……!)」
「ん? どうしたの、子猫丸君。なんだか、嬉しそうな顔してるけど……。」
「あ、あの……##NAME1##さん。」
「なに?」
「えっと、その…………。」
「どうしたの?」
「……好きです……。(つ、ついに言ってしまったー!)」
「あ、えっと、ごめん、聞き取れなかったからもう一回言ってくれるかな……?」
「…………す、す、す、好きですっ!!」
「っ! ……私もだよ。」
「……えっ!? ほ、本当ですか!?」
「うんっ! やっぱり、猫って可愛いよねぇ〜。」
「えっ?! …………そ、そうですね……。……そう、ですよね……。」
あれ? 私、何かおかしなこと言ったかな? 子猫丸君何だか落ち込んでるような……?
「……じゃあ、僕、これから用事がありますんで帰ります……。」
「え? ちょ、ちょっと待ってよ! 私、子猫丸君に聞きたいことが……!」
「さよなら……っ!」
「あっ!! ……行っちゃった……。」
好きな人、聞けなかったな……。誰なんだろ……。
「子猫さん、可哀想に……。」
「あれは当分立ち直れそうにないな……。」
ん? 何か声が聞こえる……?
声が聞こえる方を見ると……――。
「えっ!? ふ、二人とも何してるの?」
「「(バ、バレた……?!)」」
「い、いやぁ〜、ちょっと、子猫さんを待ってはるんやけど……。」
「帰ったよ?」
「わ、分かりました。……ほな帰ろ? な、坊……!!」
「あ、あぁ。」
「ほな!!」
こうして子猫丸の告白は勘違いのまま終わってしまったのである。