Bad∞End∞Night
□第一章
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あれから何時間経ったのだろう。それとも、まだ30分も経っていないかもしれない。
お腹が空いた。ランプの明かりが消えた。状況に多少の変化はあったが、1つだけかわらないことがある。
(トランツェの館どこ〜…?)
相変わらず、迷ったままだった。
ランプの明かりが消えて希望を失い、やけくそにずんずん進んだ私が馬鹿だったのは百も承知である。やっぱり私は馬鹿で阿保だったのだ。自分で自分に言い聞かせ、アンニュイになってしまう。
もう限界だ。さっきまでお腹がうるさくて仕方なかったのに、今じゃもうその感覚すらない。意識が危ない。
足元がだんだんおぼつかなくたってきた。暗闇に慣れた目が、本当のただの闇へと吸い込まれていく。
(もうだめだ。しぬんだ、わたし…)
そう思いながら、私は前に倒れていった。
その時!
(…え?)
かすかに見えた気がした。
そう、明かりが。
なんとか立ち上がり、それを確認する。間違いない。建物の窓からこぼれ出る明かりだ。
少し興奮気味に、建物に迫り寄る。入口の門には、こう書いてあった。
『トランツェの館』
や…
「やったあああああああああ!!!!」
ようやく見つけた。感無量である。
おぼつかない、だがしっかりとした足取りで向かう。扉に腕を伸ばし、ノブに触れる―――
ふいに、手が止まった。違和感に気づいた。
静か過ぎる。パーティーを開いているなら、誰かの声がしたり、笑い声が聞こえてきてもおかしくないはず。
それが無いのだ。全くの“無”。
急に不気味に思えてきた…。しかし帰り道が分かるはずもなく、ここに入る以外、私に選択肢は無かった。