knight
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避けて
切ろうとしたら跳ね返されて
受け止めて
押し出して
よろめいたところを
回し蹴り!
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「よーし!勝ったー!」
「勝者セシュ・コーラル!」
おおお!と周りを囲む同僚や先輩が感嘆の声を出す。
入団日の次の日、今現在行われているのは配置分けのために技量を測る試合。
くじで決められた相手を新人同士で戦っている。
セシュも7回戦目で男の同僚と当たり、たった今勝利したところ。
自分の戦いを囲む円から出ようとすると「すごかったよ」などとの声に笑顔で「ありがとう」と対応する。
端っこにおいていたタオルへと向かうと首にかけて、汗を拭いた。
自分の出番は終わりだ。あとはまだ後に控えている同僚たちの戦いでも見学しながら終わるのを待とう。
「お、おおおおー!!」
などとセシュの時とは比べ物にならないくらいのたくさんの感嘆の声が向こうの円から聞こえてきた。
(誰の試合だろう…)
つい気になってその円の方へ向かう。
よく見るとほとんどの人数がこの円を作っていた。
他の試合はまばらで試合にも興味がなさそうに壁側に立っているのも数名いた。
セシュの試合の場合は女性との事で珍しいからと少し多めに見てくれたこともある。
「んー…見えない…このっ」
さすがは男たち、背が高くてよく試合が見えないので無理やり中に入ろうと身をねじ込ませる。
試合を必死に観戦する同僚や先輩に押しつぶされつつも最前列に入れた。
と…目の前の光景を目にした瞬間固まる。
アンダンティの、突き。
吹き飛ぶ男性。
「勝者、アンダンティ・リロズ!」
「ふんっ」
注目を集めているのにも関わらずアンダンティは堂々と吹き飛んだ男性を見下して笑う。
すると隣の先輩が視線はアンダンティに向けているもののセシュに話しかける。
「見たか嬢ちゃん、今の試合…っ」
「あ、はい!突きだけ見ました、すごい音でしたね…!」
「全ての攻撃を避けたと思ったら一発で倒しやがった…、
新人リロズ家の坊ちゃん…こいつぁすげえ大物が入ってきだぜ…!」
どうやら昨日見た腕は確からしい。
(強い…強いんだ、アンダンティって!)
ぞくぞくとした戦慄が体に走る。
戦いたい…との思いが胸から込み上げてきた。
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