・・・オリジナル・・・
□あの日、会わなければ・・・
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「すみません・・・」
混雑する駅のホームでぶつかって、見上げた瞬間、ビンゴだった。
「あの、名刺落ちましたよ」
「ありがとうございます」
何て丁寧な受け答えだろうか。
育ちよく見える風貌で、それでいて、スーツがバッチリ決まっている。
見惚れていると、その男が嫌味な一言を言ってきた。
・・・またかよ・・・
何だ、それ?
こっちは一瞬にして「堕ちた」のに、そうやって何人突き放してきた?
無言でいると、彼は鼻で笑って、そそくさと電車に乗ってしまった。
最悪の出会い。
でも、彼が全部教えてくれた。
喜びも、悲しみも、苦しみも、全部・・・。