世界一初恋

□今日の空
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「はあ・・・」
「横澤さん、お疲れ様です」
「お疲れ・・・」

外は薄暗くなっていて、少し開いた窓からは冷たい風が入ってくる。

気付いた時には定時を過ぎている。

いつもの事だった。

「横澤、終わったか?」
「桐嶋・・・さん?」

この人が自分の所に来るまでは・・・。

この頃、何かにつけて誘われるようになった。
どうしてかと聞けば、寂しそうだったから・・・と。

あの事が顔に出ていただろうか。
どこか思いつめた顔をしていただろうか。
きっとそうに違いない。

「一服・・・か?」
「まあ」
「じゃあ、ついでに食事して帰ろう」
「えっ?」
「俺じゃ不満か・・・それとも不安?」
「あの・・・」
「ほら、行くぞ」

半ば強引に腕を引っ張られて廊下を走る。

「桐嶋さん・・・」
「何だよ?」
「・・・」

・・・見ろよ、ほら・・・

今日の空は紅く・・・紅く・・・染まっていた。

多分、俺の心も。

END

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