DOKI-WAKU-BOOKV

□野獣が仮病を使いました
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マスクで顔半分を覆ってしまうのは勿体無い。
それもこれも小野寺の反応を見るためだ。
高野は準備万端で部屋を出る。
タイミングよく小野寺も部屋を出た所だった。
案の定、小野寺は驚いた顔で声をかけてきた。
「高野さん、風邪ですか?」
マスクをしていたら100%風邪なのか?と高野は問い質しそうになったが、
ここはぐっと我慢で「最悪だ・・・」と一言だけ返した。
「薬は?」
飲んでないのに飲んだと言い、
「熱は?」
平熱なのに38.7℃と答えた。
「行くんですか?」
「当たり前だ」
「今日は別に詰まった仕事もないですし、休んだ方が・・・」
事は、高野が思う逆の方向へ動き出す。
「俺、代わりに電話かけとくんで、寝てて下さい」
と何故か小野寺の部屋に放り込まれた。
「ちょ、小野寺・・・」
「おはようございます。はい・・・よろしくお願いします」
「・・・」
「いいから横になって」
かすかに残る小野寺の匂い。
無理やりベッドに寝かされた高野は、小野寺の背中をじっと見つめていた。
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