DOKI-WAKU-BOOKV

□ライスシャワー
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お前、最近よく喋るな。
このあいだ、高野さんにそう言われた。
あんたにいろんなもん慣れさせられたんだよ・・・
なんて言えないから、そこは笑って誤魔化したんだけど。
高野さんはそんなとこまでお見通しで、
俺にはそんなの通用しねぇから・・・と、
またからかいながら笑った。
こんなふうだから、みんなに変な相談持ち掛けられたりするんだ。
ある時は、夫婦の危機ってどうやったら乗り越えられるの?
またある時は、どうすれば相手が興奮すると思う?
何でこれを俺にするんだと呆れてしまう。
でも高野さんに助けを求めたら、普段は決してけらけら笑わないのに
声を出して笑ってそして、「バーカ」の一言。
ああそうですよ、俺はバカですよ、世界一のバカですよー。
そんなこんなで家に帰っても落ち着かないのは、
となりに高野さんが住んでいるからで。
わざわざインターホンを鳴らして「開けろ」って言うんだから、
この人はきっちりした人なんだなと感心したりもする。
それを受け入れている自分も、本当に高野さんにゾッコンなのか何なのか。
もう、十年もそんな思いで過ごしてきている。
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