Natsuki Fujino

□もう一人の女友達
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適当な理由を付けて飲み会を抜け出し、自宅へと向かっていた。
この分だと、明日も二日酔いだろう。

教職員の飲み会というのは、気を使う分余計に疲れる。
酔っ払った教頭が延々話し続け、それを聞き続けるのは苦痛以外の何者でもない。

第一に、話が面白くない。
本人はタメになる話をしているのだと自画自賛してるようだが、結局は同じ内容の繰り返し。
訳の分からない所で飛躍するので、ただでさえ分かり難い話がさらに分からなくなってくる。
口を挟もうものなら、途端に不機嫌になる。

まだ、晴山の腹踊りを見ていた方がマシだ。
晴山は晴山で、調子に乗ると全部脱ごうとするので止めなければならないが。

そう考えると、あのオカマ店長は実は凄いのではないかと思えてくる。
ああ見えて、色々な事に詳しく相手を飽きさせない。
話し上手でもあり、聞き上手でもある。
いつか教頭に、オカマ店長の爪の垢を煎じて飲ませたい。

そして第二に、セクハラ攻撃だ。
同年代には見向きもせず、狙われるのは私や音楽の小里先生といった(比較的)若い女性教諭達だ。
キャバクラか何かと勘違いしてるのではないだろうか。
そして私が逃げたので、今頃は小里先生が犠牲となっている所だろう。
今度、缶コーヒーでもご馳走しよう。

あのセクハラオヤジに比べると、ユリが可愛く思えてくる。
ユリはユリで、怪しい飲み物を作ってきたり部屋に押しかけてきたりするので気を付けなくてはならないが。

なつき『・・・?』

ポケットに入っている携帯電話が震え出した。
教職員の誰かと思ったが、ディスプレイに表示されていたのは違う名前だった。
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