Natsuki Fujino

□オカマ
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私とユリは肩を並べて歩いていた。
私はスーツの上にコートを、ユリはセーラー服の上にコートを羽織っている。

なつき『さすがにこの時間は結構冷えるわね・・・』
ユリ『そうですね。あーあ、私も来年の今頃は引退なんですねー』
なつき『卒業後の進路とか考えてんの?』
ユリ『もちろん先生と・・・』なつき『却下』
ユリ『ふえーん・・・純粋な想いを踏みにじられたー・・・』
なつき『あのね』
ユリ『とりあえず、女子リーグのトライアウトを受けようと思っているんです』
なつき『女子リーグ?ああ・・・例の』
ユリ『今年、2人くらい指名されるかもしれないんですよ』
なつき『初めてだっけ?』
ユリ『はい』

そういえば聞いたことがある。
一人は父親がカイザースの投手コーチをしている娘で、もう一人は・・・ちょっと思い出せない。
どちらも、それぞれのチームのエースピッチャーらしい。

ユリ『先日、この近くで試合があったんですよ。試合前に、選手による野球教室っていうのがあって』

試合があったのは知っているが、私は観に行っていない。

ユリ『私、とっても褒められちゃいました!』

嬉しそうに言う。ユリは打つ方だけでなく、守備もそれなりに良い。
肩と足はまずまずだが。

ユリ『それで、今度個人的に会う約束しちゃいました。エヘヘ』

何がエヘヘだ。私は頭を抱えた。
おそらく、今度練習を見て下さいとでも言ったのだろう。
もし、ユリが男なら個人的に会う約束なんてしないだろう。
相手も警戒するからだ。しかし、ユリは(一応)女である。

私は女子リーグの本拠地がある方角に向かって、心の中で手を合わせた。
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