約束のとき
□示されし導
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夢を見た。
不思議と、懐かしさが込み上げてくるような夢だ。
淡い桃色の花が降り注ぐ中、向き合う少年と私。
その少年は私に笑かけ、「セフィラ」と言った。
私をそう呼ぶのは、この世で家族以外にはただ一人しかいない。
彼をゆっくり見上げた。
美しい銀髪。
深淵を宿したダークグレーの悲しい瞳。
現実味のしない世界で、その色彩だけが本物のように輝く。
私はこの色を知っている。
何故なら。
そこで、夢は途切れた。
代わりに意識が浮上する。
日の光がさんさんと射し込む室内。
自然と沸き立つような高揚感に、開けたばかりの目を閉じる。
ああ、どうして。
どうして忘れていたのだろう。
こんなに大切なことを。
幾度となく、気付かせようとしてくれたのに。
ジャーファル。
私の「うんめいのひと」。
積年の思いが結晶となる。
それは初めて確かな形を取って、目から世界へとこぼれ落ちた。
やっと、「答え」が見つかった。