約束のとき

□示されし導
1ページ/1ページ





夢を見た。
不思議と、懐かしさが込み上げてくるような夢だ。



淡い桃色の花が降り注ぐ中、向き合う少年と私。

その少年は私に笑かけ、「セフィラ」と言った。
私をそう呼ぶのは、この世で家族以外にはただ一人しかいない。


彼をゆっくり見上げた。

美しい銀髪。
深淵を宿したダークグレーの悲しい瞳。

現実味のしない世界で、その色彩だけが本物のように輝く。


私はこの色を知っている。

何故なら。





そこで、夢は途切れた。

代わりに意識が浮上する。
日の光がさんさんと射し込む室内。

自然と沸き立つような高揚感に、開けたばかりの目を閉じる。


ああ、どうして。

どうして忘れていたのだろう。
こんなに大切なことを。

幾度となく、気付かせようとしてくれたのに。

ジャーファル。
私の「うんめいのひと」。



積年の思いが結晶となる。

それは初めて確かな形を取って、目から世界へとこぼれ落ちた。



やっと、「答え」が見つかった。




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ