いつかの春ー。
君と二人、手をつないで歩く桜並木。
「綺麗に咲いたな」
「うんッ」
少し背の高い、彼の横顔が嬉しそうで。
たったそれだけのことで幸せな気持ちになれる。
「ねぇ、アスラン。今度は皆もさそって、お花見しようね!」
「花見か...いいかもな」
「でしょ?きっと楽しいよ!フフっ...」
皆との花見を想像したら、思わず笑みが零れた。
「でも...」
ふと、アスランがこちらを向いて立ち止まる。
「どうしたの?」
「皆との花見もいいけど...。一番は、キラと二人で見たい。これからも、ずっと...」
「っ!...」
アスランの言葉と、その柔らかい微笑に顔が熱くなって。
僕は真っ赤になってるであろう顔を隠すため、手をつないだまま俯く。
その間にも桜の花びらは、二人の頭上に舞い続ける。
ひらり、ひらりと。
「キラ?」
「...何」
照れ隠しに、ぶっきらぼうに応えてしまった僕にアスランが近づく。
「クス...花びら付いてるぞ」
彼の指が僕の髪に、そっと触れた。
それが、切ないくらいに愛しくて...。
その手に手を重ね、顔をあげた。
「...僕も、一番はアスランと見たいな...この先もずっとだよ」
背伸びをして、約束をするかのように彼の唇に口づけた。
――満開の桜が咲き乱れる中、君が恋しくて...。
end.
up@2007.4.3