Athrun×Kira LoveStory*

□トライアングル
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「シンッ!」


息を弾ませ彼はシンの懐へ飛び込んで来た。飛び込んで来たというよりもブツかってきたというほうが正しいか。

「うわぁ!ちょっ!キラさん!?」

いきなりのことにシンの心拍数は一気に跳ね上がる。思わず声が上擦ってしまったのは仕方ないだろう。だって、彼は自分の好きな人なのだから。

歳もそう変わらないのに白服で、けれど誰にでも分け隔てなく接する優しい性格、温和な物腰がたまらなく好きだ。

薄い背中に腕をまわしてポンポンと撫でる。華奢な肢体が同性なのに柔らかで、いい香りが鼻をくすぐる。

(ホント...たまらない...)


恋人じゃなくても密着できる、隊長と部下というポジションは悪くない。

けれど、甘んじるつもりもない。
だって恋敵(ライバル)は大勢いるのだから。

「シン、お願い〜。匿って!」

「...もしかして、また来てるんですか?」

「そう!アスラン・ザラ!」

「あ〜...」


『アスラン・ザラ』
ザラ財閥の子息で戦争とはおよそ程遠い家柄のはずなのに、父親がザフトへ出資を始めた関係で度々、視察に訪れていた。
その何度目かの折、案内を任されたキラが一団を出迎えた際、アスランは開口一番「好きだ!」と告白したというのは有名な実話だ。瞬く間に広まった話はシンの耳にも入り、ひどく焦ったものだった。

それからというもの、アスランは事あるごとにザフトへやって来ては、キラにプロポーズ紛いのことをしてくるのだ。

「あの人もしつこいな〜」

「しつこいってもんじゃないよ!きっぱり断ったのにさ〜。それになんで僕なわけ!?ここには可愛い女の子いっぱいいるじゃない!」

「ハハ...」

まるで自分に言われているようで乾いた笑いしか出て来ない。

けど、人を好きになるのって理屈なんかじゃないんだ。時には性別さえも越えてしまう。現に自分はキラ・ヤマトそのものが好きなのだから。

「キラさんは、好きな人...いるんですか?」

「ん〜?いまは特にいないかなぁ」

「じゃあ、俺を...」



――貴方の恋人にしてください。


continued...

2010.0801
 

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